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 竹中工務店とKDDI、消火器メーカー大手のヤマトプロテック(東京都港区)は建設現場の火災報知機を無線で集中管理し、全作業員へ一斉に火災発生を通知するIoT(モノのインターネット)システムを開発した〔図1〕。

〔図1〕メールやスピーカーで避難を促す
〔図1〕メールやスピーカーで避難を促す
建設現場向けIoT火災報知システムの仕組み。現場にいない作業員や内勤の事務職員にも火災発生を通知できる。現場に人がいない夜間も有効だ(資料:竹中工務店)
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 火災報知機の発報から避難開始までの時間を短くして、作業員の安全を守る。2019年9月13日に、実証実験を兼ねた避難訓練を竹中工務店の建設現場で実施した〔写真1〕。

〔写真1〕火災発生を即座に伝えて作業員の命を守る
〔写真1〕火災発生を即座に伝えて作業員の命を守る
避難訓練の様子。延べ面積8037m2、12階建ての建物を建設している。作業員は約150人。躯体が完成し、低層階から仕上げ工事を進めている段階で避難訓練を実施した(写真:竹中工務店)
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 システムの名称は「建設現場向けIoT火災報知システム」。竹中工務店のIoT分電盤、KDDIのIoTデバイスとクラウド、ヤマトプロテックの火災報知機などで構成する。

 IoT分電盤は仮設の電源線でネットワークにつながり、設置するだけで建設現場のWi-Fiスポットとして使える。躯体工事が完成した段階で設置し、内装仕上げが完成する段階までをめどに運用する。

地上30階や地下にも通知

 火災発生から避難開始までの流れはこうだ。まず火災報知機と組み合わせたIoTデバイスを通じて、火災の発生情報をクラウドに送る。次にクラウドに集めた情報を基に避難経路を自動選択する。最後に個人の電子メールやIoT分電盤のWi-Fiに接続した場内スピーカーを通じて、作業員などに火災発生と避難経路を知らせて避難を促す。

 火災の通知は広範囲に届く。地上30階以上や地下など、電波の届きにくい場所でも通知を受け取れる。

 日々状況が変わる建設現場では、有線ネットワークで火災報知機を集中管理するのが難しい。しかし、報知機を個別に管理すると、火災の発生場所だけに発報されるため、初期対応や避難に時間がかかる課題があった。3社が開発したシステムを使った訓練では、発報から即座に避難を始めて、避難終了までは5分で済んだ。

 東京消防庁によると、同庁管内だけでも年間100件近くの火災が建設現場で起こっている。18年7月には安藤ハザマの建設現場で火災が発生。5人が死亡した。