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 清水建設は、鉄骨造のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)構造データを鉄骨の積算や製作に必要なデータに変換するツール「KAP for Revit(K4R)」を開発した。K4Rを全構造設計者のパソコンに標準装備済みで、運用段階に入ったと2019年12月24日に発表した。鉄骨造におけるコストダウンや積算業務の効率化を目指す。

 清水建設は「Shimz One BIM(設計施工連携BIM)」として、設計者が作成する設計BIMデータを施工から製作、運用まで連携させることで業務効率化を図るシステムの構築を進めている〔図1〕。

〔図1〕鉄骨造の積算・発注を効率化
〔図1〕鉄骨造の積算・発注を効率化
Shimz One BIMのイメージ。BIMソフトウエアはAutodesk社の「Revit(レビット)」を使う(資料:清水建設)
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 鉄骨造での連携強化を先行した背景には、需要の急増がある。同社施工案件で比較すると、14年度は鉄骨造が全体の4割程度だったが、19年度上期には全体の約7割を占めた。また、建物用途の複合化や高層化に伴い、鉄骨の加工は複雑化し、鉄骨量は増加。そのため鉄骨のコストが建設費全体に占める割合が高くなってきている。一方で、鉄骨の積算業務は負荷が大きく、鉄骨積算業務の効率化と精度向上が課題だった。

BIMと既存システムを即連携

 K4Rは、Revitで作成した構造データを「KAPシステム」用のデータに変換するツールだ。KAPシステムは、清水建設グループの日本ファブテックが開発した鉄骨専用CADソフトウエア。鉄骨構造物の3次元モデルを構築し、モデルから鉄骨の積算や製作などに必要な加工情報を取得できる。

 しかし、独立したシステムであるため、モデル構築に必要なデータを全て入力する必要があり、その手間と時間の削減が運用上の課題だった。例えば8000t程度の鉄骨を用いる案件では、データ入力作業に2~3日かかっていた。K4Rを使えば、約2時間でRevit構造データをKAPシステム用のデータに変換できる。

 設計段階でK4Rを使うことで、構造設計者が正確な鉄骨数量を把握しながら設計できる。経済的な構造設計を追求しやすくなり、躯体にかかる建設費を抑えた提案につながる。製作する鉄骨の仕様や数量の情報が得やすく、鉄骨加工会社ともデータ連携できるので積算数量整合などの発注段階での効率化も進む。

 清水建設は、鉄筋工事や設備工事などの効率化も目指す。「Shimz One BIM」システムの21年度中の完成を目指し、3年間で約5億円を投じて開発を進める。