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 GIS(地理情報システム)ソフトの販売を手掛けるESRIジャパンは、スマートフォンなどを使い地震時の応急危険度判定調査を支援するツールを公開した〔図1〕。調査結果を地図上に表示できる。被災住民への情報提供に役立つ。開発に当たっては、建築研究所が協力した。

〔図1〕調査フォームは構造別
〔図1〕調査フォームは構造別
アプリの画面。調査フォームは建物の構造の違いに対応し、木造、鉄骨(S)造、鉄筋コンクリート(RC)および鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の3種類に分かれている(資料:ESRIジャパン)
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 応急危険度判定調査とは、余震で建築物が倒壊して二次災害が発生するのを防ぐため、自治体が建築物の危険度を判定する調査だ。一定の講習を受けた応急危険度判定士が現地を訪れて調査する。「赤は危険、黄色は要注意、緑は調査済み」を示す3色の紙を住宅に貼り、住民に危険度合いを知らせる。

 これまでもスマートフォンで応急危険度判定調査を支援するツールはあった。建築研究所は2013年、iOSの端末に調査結果を入力するツールを公開した。紙の調査表は集計に時間がかかってしまうが、デジタルツールを使うとそうした手間を省けるため、建築研究所によると1日当たりの調査件数を約2倍に増やせるという。位置情報をGPSで取得するため、土地勘のない人でも迷わずに調査できるメリットもある。

クラウドで自動集計

 今回、ESRIジャパンが開発したツールは3つの技術で構成する。地図を作製・利用するためのクラウド GISサービスの「ArcGIS Online」、入力するためのスマホとタブレット用アプリ、そしてアプリ上に調査フォームを作るための「応急危険度判定調査(訓練版)テンプレート」だ。このうちクラウドサービスとアプリは既にESRIジャパンが提供していた。

 新しいツールの特徴の1つは、被害状況を地図上ですぐに確認できる点だ。応急危険度判定士がアプリを使って調査結果を入力する。この結果をクラウドが自動集計し、地図上に表示させる仕組みだ。

 この機能を使えば、自治体が被災した住民に調査結果を知らせることができる。避難している住民が自宅や周囲の状況を確認できるため、自宅に戻るかを判断する際に役立ちそうだ。ただ、調査結果が第三者によって悪用される恐れがあるため、自治体が誰に公開するかという範囲は慎重に決める必要がある。

 地震災害の場で広く使えるよう、新しいツールはiOSだけでなくAndroidやWindowsの端末にも対応する。低価格のAndroidスマホを調査に使えるようになれば、自治体が負担する費用を減らせる可能性もある。

 アプリとテンプレートはESRIジャパンのウェブサイトから無料でダウンロードできる。本格的な実務で利用する場合などは、クラウドGISサービスの有償のライセンスが必要だ。費用は、ライセンスを導入する数に応じて変動する。