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 清水建設は、木造建築物の火災を煙式の自動火災報知(自火報)設備よりも早く検知できるシステムを販売する。木材の初期燃焼時に発生する一酸化炭素などを含む特有ガスをセンサーでキャッチし、火災を早期に知らせる。1月14日に発表した。

 2019年7月に同社が物流施設向けに開発した早期火災検知AI(人工知能)システム「火災検知@Shimz.AI.evo」の仕組みを、木造建築物に適用した。実証実験で自火報よりも早い火災検知を確認できたため、システムの提供開始を決めた。

 システムは、火災検知対象面積100m2当たり4~5個の「ガスセンサー」と、データの収集や蓄積とAIによる火災判別をする「監視プログラム」、データ監視や火災判別の情報を受けて信号を表示するコンピューター「クライアント」から成る。

 料金は、火災検知の対象面積が1m2当たり、3000~5000円程度(エンジニアリング費を含む)だ。

 実験ではISOに基づき、広さ60m2(10m×6m)、高さ4mの部屋を用意した。部屋の中央に加熱機を置いて木材を燃やし、3m離れた天井にガスセンサーを取り付けて、特有ガスの検知にかかった時間やガス濃度の関係などを分析した。

 その結果、木造建築物の火災を確実に検知できることを確認したという。なお、実験時の写真は非公開だ。

伝統木造への適用を目指す

 清水建設は、火災検知@Shimz.AI.evoを物流センター向けに開発した際、段ボールが燃えたときに発生する特有ガス「エイコサン」に着目した。燃焼で出る煙よりも早く建屋内に拡散する性質を生かし、ガスセンサーで検知。ガスの特徴を学習したAIが、火災の発生を判断する仕組みを構築した。

 天井が高い大空間では、火災の煙は希釈しやすい。高さが8mある空間を想定した場合、火災報知機では火災発生から検知までに約30分かかる。一方、特有ガスに注目した火災検知@Shimz.AI.evoは、3分の1ほどの約10分で火災を検知できた〔図1〕。この段階であれば、水を入れたバケツで消火できる程度の小規模な火災に収まることが多いという。

〔図1〕煙が充満する前に特有ガスをキャッチ
火災検知@Shimz.AI.evoは、目に見えない特有ガスをセンサーでキャッチして火災を早期に知らせる(資料:清水建設)
火災検知@Shimz.AI.evoは、目に見えない特有ガスをセンサーでキャッチして火災を早期に知らせる(資料:清水建設)
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一般的な煙式の火災報知機は、煙が施設内にかなり充満してからでないと反応しない(資料:清水建設)
一般的な煙式の火災報知機は、煙が施設内にかなり充満してからでないと反応しない(資料:清水建設)
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 火災検知@Shimz.AI.evoを発表した後、伝統木造建築にも適用できないかとの問い合わせが、清水建設に数多く寄せられていた。