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 鹿島は、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の超高層建築物などでも制振効果を発揮するセミアクティブ制御式のTMD(チューンド・マス・ダンパー)を開発した〔図1〕。地震などの影響で建物の固有周期が長くなった場合でも、150Wの消費電力でTMDの設定を調整できる。新築・既築を問わず適用可能で、建物の揺れを最大5分の4程度に抑えられる。

マンションなどの屋上への設置例
マンションなどの屋上への設置例
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煙突への設置例
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〔図1〕屋上などに「重り」を設置
建物を使いながら設置できるのがメリットだ(資料:鹿島)

 TMDは、建物と同じ振動周期を持った重りを、屋上部に配置する制振装置。地震時に重りが建物の揺れと反対方向に動き、建物の揺れを打ち消す。しかし、RC造の建物は、地震や経年変化に伴う剛性の低下で固有周期が長くなる性質を持つため、建物の固有周期とTMDの周期がずれてしまい、制振効果が十分に得られない場合があった。

 鹿島が開発した「D3SKY-RC(ディースカイ・アールシー)」は、新たな支持機構を採用してこうした課題を解決した〔図2〕。重りの支持材である積層ゴムを2、3段に分け、上段にオイルダンパーを、下段に加速度センサーや新開発の制御アルゴリズムを実装したコントローラーを設置する。加速度センサーとコントローラーで建物の固有周期を瞬時に判定し、上段に設けたオイルダンパーの減衰係数を自動的に調整する。

〔図2〕建物の固有周期に応じて上段の剛性を変化させる
〔図2〕建物の固有周期に応じて上段の剛性を変化させる
(資料:鹿島の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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建物全方向の揺れを抑制

 振動が短周期の場合は減衰係数を大きくして上段の変形を抑制し、長周期の場合は減衰係数を小さくして上下段共に変形させる。減衰係数の調整のみで、TMDの周期制御が可能になった。従来は、あらかじめ設定した周期にしか対応できなかった。

 コントローラーは方向による周期の違いにも対応し、全方向の揺れを抑制できる。長周期地震動や台風による揺れを約2分の1に、直下型地震による揺れを約5分の4に抑える。

 停電時には小型の無停電電源装置が作動し、電力供給が途絶えた場合にはパッシブ型のTMDに切り替わる。また、重りの動きが一定の速度を超えると減衰力を高めて動きを制御するなど、想定以上の地震にも備えた。