日建設計など5社は5月9日、既存の地域冷暖房システムの運転を効率化するためのAI(人工知能)を開発したと発表した。AIを組み込んだコンピューターを設置し、既存のシステムから運転データを読み込ませるだけで導入できるのが売りだ〔図1〕。
地域冷暖房では冷水や温水などをまとめて製造し、複数の建物に供給する。街区全体で二酸化炭素(CO2)の排出を削減できるうえ、建物ごとに熱源設備を設ける必要がないため安全性が高まるほか、スペースを有効活用できるのもメリットだ。
ただし課題もある。国内の地域冷暖房133件のうち竣工から20年を経た施設は約9割を占め、機器の経年劣化による省エネルギー性能の低下が進む。脱炭素に関心が高まるなか、正確な熱需要予測に基づく運転効率化へのニーズも増している。
そこで開発したのが、設備機器の運転を支援する「AI地域冷暖房(AIちれい)」。次の3つのAIから成る。