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 SNS(交流サイト)の投稿を人工知能(AI)で分析して災害の発生を検知するサービスを展開するSpectee(スペクティ)(東京都千代田区)は、AIを活用して水害発生時の浸水範囲や浸水深を3Dマップ上に再現する技術を開発した。リアルタイムで被害状況を可視化することで、自治体の災害対応計画の作成などに役立てる。

 同社が開発したAIは、SNSに投稿された画像1枚で、浸水範囲や浸水深を可視化する。SNSに1枚目の画像が投稿されてからAIが3Dマップを生成するまでにかかる時間は10分程度で、画像の撮影地点から約10km四方の被害状況を推定できる。3Dマップの生成後に新たな画像がSNSに投稿されれば、その画像情報を基に3Dマップを自動で更新する。

 同社の村上建治郎CEO(最高経営責任者)は、「どこに避難すればいいかがすぐに分かるため、被害を抑えるのに役立つ」と自信を見せる。

目標は「被害を予測するAI」

 スペクティが開発したAIは2つ〔図1〕。1つ目は、SNSに投稿された文字データと画像から場所を特定するものだ。投稿された文字データを解析し、大まかな場所に目星をつける。その後、画像に写っている建物や看板などから詳細な場所を特定する。

〔図1〕1枚目の投稿から10分程度で被害状況を可視化
〔図1〕1枚目の投稿から10分程度で被害状況を可視化
スペクティが開発したAIが浸水時の被害状況を3Dマップ化するまでのイメージ。AIはSNSに投稿された画像の場所を特定して、その場所の被害状況を推定する(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成。写真は日経アーキテクチュア、3Dマップはスぺクティ)
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 2つ目のAIは、1つ目のAIが特定した場所の被害状況を推定する。気象庁の降雨量や過去の被害状況などから浸水範囲を、画像に写る建物情報から浸水深を推定して、被害状況を反映した3Dマップを生成する。

 同社は「令和2年7月豪雨」で被災した熊本県の球磨川周辺をモデルケースにAIの精度を検証した。その結果、画像を基にAIが生成した3Dマップは、国土地理院が作製した同地域の浸水想定図と大きな誤差がないことを確認できた。

 同社の岩井清彦CDO(最高デジタル責任者)は、「動画からでも被害状況を推定できるようにしたい。さらに、溢水(いっすい)や越水といった動画を基に、数分後の被害状況を予測できる技術を目指す」と意気込む。