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 早稲田大学と東京大学、リモート・センシング技術センター(東京都港区)は共同で、豪雨による東京23区内の浸水被害をリアルタイムで予測するシステムを開発した。20分後までの浸水範囲や深さを地図上に色分けして示し、時系列で見られるようにする。情報はインターネット上で即時に提供する〔図1〕。

〔図1〕豪雨による浸水被害予測を可視化
〔図1〕豪雨による浸水被害予測を可視化
東京駅周辺での浸水状況を示した図。時間を変えたり、見たい箇所を拡大したりできる(資料:早稲田大学)
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 2019年6月末から、文部科学省が運用するデータ統合・解析システム(DIAS)上で試験的に地図を公開する。浸水の危険性を伝えて避難を促すとともに、地下街などの施設管理者が浸水対策を実施するタイミングを判断するのに活用してもらう。

 地下空間の利用が進む都市部では、豪雨時に地下街が水没するリスクがある。施設の管理者は、浸水状況をいち早く確認して止水板を設置したり、通行を禁止したりといった対策を講じなくてはならない。災害時に被害の現況を把握できるシステムが求められていた。

浸水深を誤差5㎝で予測

 開発したシステムでは、気象庁の降雨予報や国土交通省の降雨実績のデータ配信に合わせて、浸水被害を予測する。浸水深を誤差5㎝で予測する精度の高さが売りだ。

 建物や道路、下水道、地下空間、河川といった雨水が流れる施設の詳細なデータを集めてシステムに組み込んだ。道路に設置してある雨水升や、ポンプ場など下水関連施設の処理能力を基に、道路や下水管を流れる雨水の量を計算する。こうした構造物の情報は国や都から入手した。

 予測の精度を確認するため、過去の降水量を使って計算した結果と、当時の水位の観測データなどを照らし合わせた。河川と異なり、道路や住宅の浸水被害はデータが残っていないため、被災時の写真などを使って確かめた。

計算拠点は2カ所に

 23区全体を対象に膨大な計算を実施し、その結果をリアルタイムで配信し続けるには、計算の高速化が欠かせない。

 そこで早稲田大学は東京大学と連携して、一連の計算を複数の装置で分担する並列化に取り組んだ。CPUに比べて、単純な計算を繰り返し高速で実行するのに特化したGPU(画像処理プロセッサー)を活用。短時間で計算することに加え、時系列で地図上に示した予測結果を配信できるようにした。

 計算の拠点は、東京都と千葉県の2カ所に設けた。どちらかが点検している場合や、災害時に稼働できなくなった場合への備えだ。