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 竹中工務店は、床や壁、天井を一体で免震化する部屋免震システムを開発し、血液検査機器大手シスメックス(神戸市)のバイオ診断薬拠点「テクノパーク イーストサイト」のクリーンルームに適用した。地震時に設備機器の転倒や部屋の損傷を防ぎ、事業継続に役立てる〔図1写真1〕。

〔図1〕設備機器の転倒や部屋の損傷を防ぐ
〔図1〕設備機器の転倒や部屋の損傷を防ぐ
部屋免震システムの断面イメージ。壁と構造躯体の間に幅35cmのクリアランスを設けた(資料:竹中工務店)
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〔写真1〕クリーンルームに導入
〔写真1〕クリーンルームに導入
部屋免震システムを導入した「テクノパーク イーストサイト」の外観。2019年2月に竣工した(写真:竹中工務店)
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 構造躯体の内側に床・壁・天井を一体化したフレーム(部屋)を構築し、部屋の床下に球面すべり支承を設置する。球面すべり支承を採用したのは、球面の曲率半径だけで固有周期が決まるため、室内の設備機器の重量によらず周期を長くできるからだ。出入り口や配管ダクトには免震エキスパンションジョイントや免震継ぎ手を設け、構造躯体との変位差を吸収する。

 竹中工務店は、震度6強相当の地震を想定した場合、部屋免震システムによって応答加速度を600~800ガルから200ガル以下まで抑えられると試算する。

気密性を確保できる

 「テクノパーク イーストサイト」のクリーンルームでは、厳密な管理が必要な生物由来の原材料を保管しているため、気密性の確保が求められる。従来のように床だけを免震化するシステムでは、床が壁から独立して動けるように両者に隙間を設けなければならないため、部屋の気密性が確保できない。床・壁・天井を一体にして免震化すれば、室内に隙間を設けなくて済む。

 平時だけでなく地震時の気密性も確保できる。床だけを免震化しても地震の揺れで壁や天井が損傷する恐れがあるが、部屋免震システムなら壁や天井の損傷も防げる。

 この施設では、建物全体の免震化を検討していたが、導入費用が安く済む部屋免震システムに切り替えた。竹中工務店によると、延べ面積1万5000m2の建物のうち約500m2に部屋免震システムを導入する場合、建物全体を免震化する費用と比べて工事費を約80%削減できる。

 同社先進構造エンジニアリング本部免制振・特殊計画グループの浜辺千佐子副部長は「2016年の熊本地震でクリーンルームが損傷した事例などを踏まえて開発した」と語る。

 同社は今後、再生医療やバイオ関連施設など気密性の確保が必要な部屋を中心に、部屋免震システムの普及を目指す。同システムは既存の建物にも導入できる。