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 年平均気温がマイナス50℃を下回る過酷な環境下でCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は構造部材としてどの程度使えるか──。竹中工務店と国立極地研究所は、南極の内陸部にある観測基地「ドームふじ」の近傍に設置する氷床掘削施設の屋根架構の一部にCFRPを採用し、性能を検証する〔写真12〕。7月19日、CFRPを使用した架構の仮組みを国立極地研究所で報道陣に公開した。

〔写真1〕3つのフレームにCFRPを採用
〔写真1〕3つのフレームにCFRPを採用
CFRPを使用した掘削施設の屋根架構の仮組み。5つ並んだフレームのうち、黒い3つのフレームにCFRPを採用している。1つのCFRPのフレームは3つに分けて運搬する(写真:日経アーキテクチュア)
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〔写真2〕高屋根の架構をCFRPに
〔写真2〕高屋根の架構をCFRPに
2003年~07年に設置した掘削施設。22年度に設置する施設も、同じ形とする予定だ(写真:国立極地研究所)
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 掘削施設の部材は、日本から輸送する。また、現地での屋根架構の組み立ては観測隊員による人力で行う。こうした条件から、厳しい気象環境下で建物の強度を維持しながら、輸送や組み立てを効率化するため部材の軽量化が課題だった。

 CFRPは、鉄と比較して、重さは約5分の1と軽量でありながら、引っ張り強度は約5倍に及ぶ。軽量、高強度、伸び縮み・変形しにくい、さびないなどの特徴を持つ〔写真3〕。CFRPの採用により、輸送にかかるエネルギーの削減、施工効率の向上などが期待される。

〔写真3〕繊維を巻いた方向が分かる
〔写真3〕繊維を巻いた方向が分かる
仮組みに使用しているCFRPの部材。表面の柄は、45度方向に巻いた炭素繊維による(写真:日経アーキテクチュア)
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28年まで現地で経過観察

 CFRPの架構は、掘削施設の高屋根部分に用いる。CFRPを採用した箇所の重量は、従来使用していた鋼材と比較して約40%削減できた。今回は初めての取り組みのため、CFRP部材の断面を必要な厚さよりも厚めに設計している。今後は、より軽量化できる見込みだ。

 共同研究は19年から開始した。21年12月に昭和基地へ部材を輸送し、22年11月~23年1月にドームふじ近傍の掘削地点へ設置。その後28年まで現地で経過を観察する予定だ。