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 清水建設は、複雑な曲面形状のガラスファサードを構築する「3次元曲面ガラススクリーン構法」を開発した〔写真1〕。曲面ガラスを点支持する部材を最適設計するとともに、3D金属プリンターを用いて支持部材を一品生産する。これにより、3次元曲面の設計自由度を高め、施工性や施工品質を確保する。8月25日に発表した。

〔写真1〕縦5m×横3mの実大モックアップ
〔写真1〕縦5m×横3mの実大モックアップ
4枚のガラスが集まる中央付近に、金属3Dプリンターで製作した支持部材が見える。新構法では、表面のガラスを支える背面のリブもガラスとして、ファサード全体の透明感を高めている(写真:清水建設)
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 新構法は、曲面ガラス部材を接着接合によって点支持するのが特徴だ〔写真2〕。支持部材の製作には、部材の最適化を行うジェネレーティブデザイン手法と、金属3Dプリンティング技術を活用する。

〔写真2〕ガラスを点支持する部材
〔写真2〕ガラスを点支持する部材
3次元曲面ガラススクリーン構法では、ガラスを点支持する。ガラスと支持金物の接合点はシリコン系の接着剤で固定している(写真:清水建設)
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 ジェネレーティブデザイン手法には3Dモデリングソフトを活用。ガラス支持部が構造強度を最も効率的に発揮できる3次元の形状を導き出す。この3次元データを粉体金属プリンターに入力して金属製の支持部材を製作する〔写真3〕。一品生産なので、すべての部材で形状が異なっていても対応しやすい。完成した部材の形状を3Dスキャナーで計測し、製作精度を確認した上で施工する。

〔写真3〕金属3Dプリンターで製作
〔写真3〕金属3Dプリンターで製作
支持部材は、最適な構造となるよう設計する。複雑な形状も金属3Dプリンターなら製造できる(写真:清水建設)
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 施工時には、ガラスと支持部材を構造接着剤で固定する。ガラスの穴開けなどがいらないので、施工精度を確保しやすく、手間も軽減できる。

地震や風圧の実大性能実験も

 現在、3次元曲面を取り入れたガラスファサードに対する設計ニーズが高まりつつある。しかし、フラットなガラスファサードに比べて施工手間とコストが大幅に増加するという課題があった。低コストで3次元曲面形状を表現する手法として、フラットなガラスを現場で強制的にねじりながら所定の位置に取り付ける工法が実用化されているが、対応できる曲率に限界があり、変化に富む複雑な曲面形状は表現できなかった。

 新構法の開発にあたり、同社技術研究所内に縦5m、横3mの実大モックアップを構築し、施工の実効性を確認している。今後、モックアップを用いた実大性能試験によって地震や風圧などに対する強度を検証した上で、実案件へ提案していく。