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 コロナ禍で医療現場の人手不足が深刻さを増しており、解決策としてロボットの活用が検討されている。大成建設と名古屋大学医学部付属病院メディカルITセンター、クラウド基盤のサービス開発を手掛けるモノプラス(東京都千代田区)は、ロボットを使って医師や看護師の業務を支援する実証研究を8月に開始した。

 実証研究は、市販の自律走行型多目的ロボット「temi(テミ)」に、パソコンやモバイル端末でロボットを制御するツール「BuddyBot」を搭載して実施する〔写真1〕。主な実証内容は3つ。(1)集中治療室(ICU)内の看護師と病院内外にいる医師との遠隔コミュニケーションツールとしての利用、(2)書類や医薬品など軽量物の搬送、(3)院内の感染症対策だ。

〔写真1〕病院内を自律走行するロボット
〔写真1〕病院内を自律走行するロボット
多目的ロボット「temi」が病院内を自律走行する状況。temi本体の上部にモニターがあり、テレビ通話ができる。足元には、レーザー光を利用して対象物までの距離や形状を特定できるLiDARを搭載する(写真:大成建設)
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 医師と看護師の遠隔コミュニケーションは、次のようなシーンを想定する。ICUの看護師が、患者の急な症状悪化やトラブルに遭遇した際、temiをベッドサイドに呼び寄せて、テレビ通話機能で医師に連絡。その場で指示を受ける。このときtemiのカメラを使い、患者の状態を医師に映像を見せながら伝える〔図1〕。

〔図1〕ICUの看護師と病院内外の医師の対話を支援
〔図1〕ICUの看護師と病院内外の医師の対話を支援
集中治療室(ICU)内の看護師と病院内外の医師の遠隔コミュニケーションのイメージ(資料:大成建設の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 さらに、temiが病院内を巡回するように設定。入院・外来患者の急変など異常を感知し、医師や看護師に通報できるかを検証する。

 書類などの搬送では、temiに専用の容器を取り付けて、書類や医薬品など軽い物を運ぶ。temiはあらかじめ指定した複数の場所を巡回しながら、自律走行する。

マスクの有無判断し注意も

 院内の感染症予防は、遠隔操作による移動や、来院者への声かけ機能で実施する。例えば、来院者のマスク着用状況をtemiに搭載したカメラとAI画像分析で判断し、マスクをしていない人への注意喚起や入館禁止措置を行う。来院者が身に着けるべき面会カードの有無を判別し、未着の場合は立ち入りの拒否を伝える。また、感染症病室での遠隔回診により、テレビ通話機能を利用した診察も検討している。