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 建設現場でIoT(モノのインターネット)の活用が始まっているが、高層ビルは携帯電話の電波が入りにくいのがネックだ。そこで、西松建設は無線LANのメッシュネットワークを採用。LANケーブルを敷設することなく、実用的な通信環境を整えた。

 無線LANのメッシュネットワークとは、アクセスポイント(AP)を網の目(メッシュ)のようにつないでエリアを構築する技術だ。複数のAPを経由させることで、エリアを効率よく拡大できる。

 地上30階建ての、中心に吹き抜けがある高層ビルで実証実験を行った。有線回線とつないだ親機を現場事務所に設置。その先は2つのルートを検証した。屋上に置いたAP経由で吹き抜けを通るルートと、通信が必要な階のベランダに置いたAPから屋内に中継するルートだ。いずれも西松建設が求める通信環境を構築できることを確認した〔図1写真1〕。

〔図1〕仮設の無線通信環境を構築
〔図1〕仮設の無線通信環境を構築
工事中の高層ビルで無線LANのメッシュネットワークを構築する実証実験のイメージ。屋内や吹き抜けを、複数のアクセスポイント経由し、必要な場所で通信できるようにする(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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〔写真1〕現場で設置しやすい仕様を提案
〔写真1〕現場で設置しやすい仕様を提案
高層ビルの建設現場に設置したピコセラ製の建設向け屋外無線LAN機器。電源コンセントがある場所なら、足場や三脚に固定することで簡単に設置できる。取り付け用アタッチメントは西松建設の提案を採用した(写真:西松建設)
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IoT活用を阻む現場事情

 西松建設は全ての建設現場でタブレット端末を導入しているが、安定した通信環境を確保できずに困っていた。今後普及する5G(第5世代移動通信システム)でも、高周波数帯はガラスを透過しにくい。現場での通信環境の確保が求められていたが、手間とコストのかかる有線の通信環境をその都度整えるのは現実的ではない。

 西松建設は、通信速度が速いうえに約250mの距離で通信できるPicoCELA(ピコセラ)の無線LAN機器に着目し、同社に屋外向け製品の開発を求めた。ピコセラは西松建設が提案した取り付け方法などを取り入れ、新たな無線LAN機器を19年3月に発売した。西松建設はこの機器をレンタルし、高層ビルなど5件の建設現場で活用中だ。