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 清水建設は、建物の屋上や地上に設置した設備機器の騒音を抑えるアルミ製の遮音ルーバー「しずかルーバー」を開発した。既存の製品と同等以上の遮音性能を確保しつつ、低価格化を実現。採用コストを従来の5~8割に抑えた。下地や鉄骨を除いたルーバーの価格は1m2当たり4万8000円からだ。

 羽板間の通気経路に凝らした3つの工夫で、低音域から高音域まで幅広い周波数帯の騒音に対応したのが特徴だ〔図1〕。

〔図1〕高音から低音まで幅広い周波数帯に対応

〔しずかルーバーの断面と遮音機構〕
〔しずかルーバーの断面と遮音機構〕
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「からくさホテルグランデ新大阪タワー」におけるしずかルーバーの使用例。写真は外側の面
「からくさホテルグランデ新大阪タワー」におけるしずかルーバーの使用例。写真は外側の面
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音響透過損失(dB)
中心周波数(Hz)
125 250 500 1000 2000 4000
共鳴器付き 5.5 5.5 6.4 10.4 11.1 12.4
共鳴器無し 5.5 5.6 6.7 9.2 10.2 12.5

しずかルーバーの仕様。塗装の仕様や共鳴器の有無など、複数のタイプを用意した。音響透過損失は遮音性能を表す。値が大きいほど性能が優れている(写真・資料:清水建設)

 1つ目は羽板の形状。通気経路の下側に位置する羽板の先端の断面を放物線状とし、その対面の羽板の断面を円弧状とすることで、通気経路に入ってきた騒音を反射し、進入経路をたどって音源側に送り返す。特に高音域に有効だ。

 2つ目は、羽板の中空部分に設けた不燃性ポリエステル吸音材。低音域から高音域まで、幅広い周波数帯の騒音を吸収する。

 3つ目は、通気経路の上側に設けた空洞とスリット。共鳴現象を利用して音を低減する「ヘルムホルツ共鳴器」を形成し、中音域の騒音を減らす。ヘルムホルツ共鳴器は、防音ガラスや自動車のマフラーなどに広く使われている。

通気性も両立

 既存の製品は羽板部分に大量の吸音材を仕込む方式のため、羽板の形状が複雑で大型になり、価格が高くなるという課題があった。しずかルーバーは「吸音」だけでなく「反射」と「共鳴」によって騒音を抑えることで、小型で簡素な構造を実現した。押し出し成形で製造できる。

 通気経路の形状が滑らかなので、設備機器の性能を維持するうえで重要な通気性も優れている。空気の流れやすさを示す流量係数は、既存の製品の2倍以上に当たる0.5を確保した。

 清水建設は、同社が設計・施工を手掛けた「からくさホテルグランデ新大阪タワー」(大阪市淀川区)の地上部に設けた設備ヤードに、しずかルーバーを採用済み。製造委託先の成和(京都府宇治市)を通じて12月から外販する。商業施設の屋上に設けたスポーツ施設の騒音対策などにもニーズがあるとみている。