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 清水建設は、宗教法人生長の家の中規模オフィスビル「森の中のオフィス」(山梨県北杜市)で使用電力を100%自給自足するオフグリッド運用を導入した。中規模オフィスビルにおけるオフグリッド運用は、国内で初めてだという。10月20日に発表した。

 森の中のオフィスは、オフィスや倉庫、エネルギーセンターのほか駐車場を含め10棟に分かれており、全体の延べ面積が8154m2だ〔写真1〕。2013年5月に竣工した。

〔写真1〕複数の建物からなるオフィス
〔写真1〕複数の建物からなるオフィス
「森の中のオフィス」は、10棟からなり、屋根面に太陽光パネルを敷いている。野沢正光氏(野沢正光建築工房代表、東京都世田谷区)と故高間三郎氏(科学応用冷暖研究所所長、東京都大田区)が基本設計、清水建設が設計・施工を担当した(写真:清水建設)
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竣工7年後にオフグリッドへ

 オフグリッド運用を始めたのは、竣工して約7年がたった20年2月からだ。470kWの太陽光発電と175kWのバイオマス発電、1824kWhのリチウムイオン蓄電池2セットを用いて使用電力を自給自足する〔図1〕。蓄電池は米Tesla(テスラ)製だ。蓄電量の3648kWhは、オフィスでの約2~3日分の消費電力量に相当する。

〔図1〕蓄電池の容量を約9倍に増量
〔図1〕蓄電池の容量を約9倍に増量
建物完成時の構成図(左)と、オフグリッド運用時の構成図(右)。蓄電池の容量を約9倍に増量し、再生可能エネルギーを100%利用するオフグリッドを実現した(資料:清水建設)
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 森の中のオフィスでは、完成当初から再生可能エネルギーを利用していたほか、省エネ技術を導入していた。例えば、オフィス各棟の間隔を空けたり、敷地の高低差を利用したスキップフロアとしたりすることで、自然通風や自然採光の確保を図った。再生可能エネルギーの発電量が消費を年間で200MWh~300MWh上回るPEB(Positive Energy Building)として機能していた。

 ただ、建物の完成直後はオフグリッド運用を採用していなかった。発注者は、建設当初から電力会社の電気を購入しない仕組みを要望していたが、蓄電池の技術が障壁となった。当時最大級の容量(408kWh)のリチウムイオン蓄電池を導入しても蓄電量が足りず、電力会社からの電気を買わざるを得ない場面があった。

 蓄電池の大容量化が進んだ上に、既存の蓄電池の耐用寿命が近づいていたため、機器変更など改修を実施。電力会社に頼らない運用が実現した。