全988文字
PR

 竹中工務店とNTTドコモは、次世代移動サービス「MaaS(Mobility as a Service:マース)」を建設関係者向けに適用した。建設現場の人や物の移動の需要に応じてバスを運行する「建設MaaSオンデマンド移動&搬送」だ。実証実験を10月5日から11月30日まで大阪市内で実施した。2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)の開催予定地などへの導入を見据える。

 実証実験では、ドコモの「AI運行バス」と呼ぶシステムを活用した。利用者がスマートフォンを通じてバスを予約する〔写真1〕。利用者の人数や乗降場所、希望時刻などの需要に応じて、AI(人工知能)が全体最適となるルートを算出し配車する。時刻や路線が定まっている一般的なバスと比べて、利用者のない区間の走行が不要になる。

〔写真1〕スマホでバスを予約
〔写真1〕スマホでバスを予約
利用者の予約に応じてバスを配車。利用者の人数や乗降場所、希望時刻などの需要に応じ、AIが全体最適となるルートを算出する(写真:竹中工務店)
[画像のクリックで拡大表示]

 このバスは、目的地が近い利用者同士をまとめて輸送する。人の移動中に養生材やコーン標識、消耗品雑材などの建設副資材、弁当などの飲食物も搬送する。

 実験では、大阪市の中央区や北区などを含む約10km四方の区画を車両2台が運行した。導入した車両は、定員3人の乗用車と定員5人のワゴン車。竹中工務店の社員や協力会社の関係者ら約1000人が対象だ。

 竹中工務店の事業所や作業所のほか駅、官庁施設、ホームセンターなど約50カ所で乗降できる〔図1〕。これらの施設を直接結ぶことで、移動時間を短縮する。

〔図1〕市内50カ所で乗降できる
〔図1〕市内50カ所で乗降できる
AI運行バスの乗車ポイントを表示している画面。大阪市内の約50カ所で乗り降りできる(資料:NTTドコモ)
[画像のクリックで拡大表示]

情報漏洩の防止にも

 利用者は移動中にウェブ会議などの業務に取り組める。車内に膝上デスクや車酔い軽減眼鏡を用意して、快適にパソコンに向き合えるよう配慮した。利用者を限定しているため、一般客への情報漏洩の不安がない。

 竹中工務店によると、実証実験を通じてバス利用料金の精算手続きにかかる手間を省くメリットの大きさに気づいたという。今後、オンライン決済の導入なども視野に入れる。

 竹中工務店は建設MaaSについて、25年大阪・関西万博の会場予定地である夢洲(ゆめしま)のように公共交通網が未整備な状態で進む大規模開発エリアや、建設現場が散在している市街地への適用を見据えている。

 竹中工務店スマートコミュニティ本部の天雲伸一副本部長は、「当社以外の建設会社も建設MaaSの取り組みに参加して効率が上がるのであれば、利用者の範囲を広げていきたい。また、建設中だけでなく、施設や街が完成した後にも役立てたい」と話す。