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 島根大学総合理工学部建築デザイン学科の清水貴史准教授らの研究グループは、転倒時の衝撃を緩和する性能と歩行性を両立させた畳床「MIGUSACARE」を開発した。従来の畳より薄く、既存床に置き敷きできるので、室内の安全対策を手軽に講じることができる。共同開発者で、プラスチック製品の製造・販売を手掛ける積水成型工業(大阪市)が1月から販売を始める。

 開発した畳床は83cm角の正方形で、厚さは23mmだ。半畳ほどのサイズとし、厚さも従来の畳の半分以下に抑えた。断面構成は、表層から順に畳のシート、芯材、緩衝材となっている〔図1〕。表層はポリプロピレン樹脂による繊維を編んだもので、い草よりも滑りにくい。

〔図1〕剛性の高い材で歩行性を確保
〔図1〕剛性の高い材で歩行性を確保
開発した畳床「MIGUSACARE」の断面図。ラミネート加工で浸水を防ぐ。工事すれば既存床に敷き込むことも可能(資料:積水成型工業の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 芯材には、剛性の高いMDF(中密度繊維板)を採用。踏み込んだ際に沈みすぎないようにして歩行性を確保した。緩衝材には、医療用包帯などに使う特殊な不織布を採用した。