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2021年の建築市場も、20年に続いてコロナ禍の影響を大きく受けそうだ。建築の需要やプライス、コストはどのように推移するか。そして、それらは建設会社の業績にどう影響するか、独自に分析する。(日経アーキテクチュア)

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 2020年の建築物着工床面積(建築需要)は前年比10.8%減の1億1374万m2だった。20年4月~5月の緊急事態宣言で経済活動が停滞。後半に感染拡大が一旦落ち着き景気が盛り返したものの、民間設備投資の落ち込みで工場の需要は前年比33.5%減の573万m2だった。これほどの需要減は、リーマン・ショック直後の09年以来、11年ぶりだ。

 この数年、建築プライス(本稿では、建築着工統計の工事費予定額を着工床面積で除して算出した単価を指す)は上昇し、高止まりしていたが、20年8月以降は下落傾向にある。背景には、上述の需要減や景気の先行きへの不安がある。建設会社が受注量を確保する必要に迫られ、競争が激しくなっているのだ。

 建築プライスの下落がこの先、当分続くとみて、建設会社に対して工事価格の低減を迫る好機が巡ってきたと考える発注者は少なくない。景気の先行きが不透明な状況下で、大型投資を当初の計画通りに進めているデベロッパーもみられる。

 受注競争がさらに激化し、建築プライスの下落傾向が続くと、建設会社の実入りは細っていく。過去の不況期はコスト削減で乗り越えてきたが、今回は少し事情が違う。

 建築コストは弱含みながらおおむね横ばいで推移しており、一向に下落する兆しがないのだ。長年の人手不足を背景に、労務費はこの8年間で50%超も上昇した。たとえ建築需要が1割超ほど減り、技能者の不足率がやや緩和しても、依然として人手が足りないことに変わりはない。