ブログで「怪しい業者」と名指しされ、その記事がSNSで拡散された──。ブログやSNSは設計事務所や建設会社の営業ツールとして欠かせなくなりつつあるが、デマ情報による被害も無視できなくなっている。(日経アーキテクチュア)

スマートフォンが普及し、インターネット上の情報が人々の行動に大きな影響を及ぼしている現在、誰もがネット上でのトラブルに巻き込まれる危険性がある。ネット情報を巡る建築訴訟も目に付くようになってきた。
リフォーム会社が自ら開設した口コミサイトを操作、自社を「ランキング1位」として表示したことで不正競争防止法(不競法)違反を認定された事件(大阪地方裁判所2019年4月11日判決)など、売り込み狙いの「ステルスマーケティング」が問題視された例もある。不正競争行為の1つ、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、または流布する行為」(不競法2条1項21号)に当たるとされたためだ。
これとは逆に、何のいわれもない非難を一方的に受けたという場合も、不競法が争点になる。今回取り上げるのは、ブログで一方的な非難を受けた建物損害調査会社A社が、ブログ運営者のリフォーム会社B社とその代表者を訴えた事案だ。