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市は不認可処分ができる

 この判決はどのような判断によるものなのか、1審の徳島地裁判決、2審の高松高裁判決をひも解いてみよう〔図2〕。

〔図2〕再開発計画における事前の同意は売買契約と同じではない
〔図2〕再開発計画における事前の同意は売買契約と同じではない
(資料:判決文を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 権利変換に関する市長の裁量について、1審はこう判示している。

 「判断権者たる市長は、権利変換の認可に際して計画が都市再開発法74条の基準に合致しているかを審査することになるから、市長の判断には一定の裁量があると言わざるを得ない」

 2審はこう続けた。

 「権利変換の認可後は、期日到来により既存建物の除却などが始まり、再開発事業を中止できなくなる。このような重要な法的効果につながるという認可の性質に鑑みれば、市長は事業の実現可能性も踏まえた上で判断すると解するのが相当だ」

 再開発組合は、組合設立の際に事業の実現可能性は審査されており、権利変換の段階では市に審査の裁量権はない(羈束裁量に当たる)と主張していたが、これらの判断により、否定された。

白紙撤回は許されるのか

 仮に市に裁量権があったとしても、今回の不認可処分は裁量の逸脱濫用に当たるのではないか。この争点で組合側は、「市との売買契約は実質的に成立しており、権利変換計画は完成していて、後は認可を受けるのみだった」と主張した。

 組合は権利変換計画を16年に決定しており、この計画にはホールの購入予定者である市も地権者の1者として同意していたためだ。

 だが1審は「本件同意は、市として権利変換計画の内容に異議がないことを示したものにすぎず、これにより売買契約が成立したのと同様の法的関係が生じたとまでは認められない。権利変換期日も迎えていないことから、事業を中止できない状態には至っていない」と認定。組合側の主張を否定した。

 1審は加えて、「市は変更前の方針に従った行動を取ることを強いられるものではない」と判示。市には信義則違反はなく、裁量権の逸脱濫用もないと結論付けた。2審や最高裁もこの判断を支持している。