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建設現場をこのまま動かし続けてよいか、悩ましい判断を迫られている読者は多いだろう。匠総合法律事務所の秋野卓生弁護士の寄稿として、コロナ禍による法的な事業リスク要素を整理した。(日経アーキテクチュア)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、工事中止を決めた建設会社も少なくない〔写真1〕。

〔写真1〕工事を中断した建設現場
〔写真1〕工事を中断した建設現場
4月15日から工事を一時中断した清水建設の建設現場。同社は5月6日、工事再開の方針を発表した(写真:日経アーキテクチュア)
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 「工事現場を止めるべきか」という相談に対し、筆者がアドバイスしているポイントは3つある。

 第1に、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下、特措法)の観点だ。特措法4条は「事業者および国民は、新型インフルエンザ等の予防に努めるとともに、新型インフルエンザ等対策に協力するよう努めなければならない」と規定し、予防と対策の努力義務を課している。

 次いで、従来から存在する法的義務の観点だ。建設会社は従業員、下請け事業者、顧客などに対する安全対策を講じる義務を負っている(労働契約法5条または民法415条に基づく安全配慮義務)。

 最後にリスク管理の観点だ。建築現場で感染爆発(クラスター)が発生した場合に何が起こるか、リスクを想定しておかなければならない。