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この10年間、東日本大震災の復興需要や東京五輪特需などで新築工事が活況を呈する陰で、改装・改修工事の受注高も順調に伸びてきた。足元のストック市場の状況を分析しつつ、中長期的な動向を占う。(日経アーキテクチュア)

 国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査」によると、2009年度に約6.2兆円だった改装・改修工事(維持・修理工事も含む、以下同)の受注高は19年度に約11.8兆円となり、この10年で約2倍に伸びた。

 ただし、足元の状況は思わしくない。コロナ禍などの影響で、20年の受注高は前年比11.7%減の約10.4兆円となった。改装・改修工事の7割を占める非住宅工事は10.9%減、住宅工事は13.4%減と、これまで着実に増えてきた改装・改修需要が大きく減少したのだ。

 今後もしばらくは、改装・改修需要の低迷が続く可能性がある。21年度に入ってから相次いで緊急事態宣言が発令され、個人消費の低迷などによって景気回復には相当の時間がかかると推察されるからだ。

 21年度後半以降にワクチン接種が進み、経済活動のレベルが段階的に引き上げられ、22年度にようやく景気は下げ止まって上向きへ転じると予想される。実質GDP(国内総生産)がコロナ前の19年の水準を回復するのは、23年ごろになりそうだ。

 こうした経済状況を踏まえて、筆者は改装・改修工事の受注高が23年度ごろまで、年間10兆円前後で推移すると予測している〔図1〕。

〔図1〕改装・改修需要はアフターコロナの主役に
〔図1〕改装・改修需要はアフターコロナの主役に
改装・改修工事受注高は、国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査」における改装・改修工事と維持・修理工事の合計額。新築工事受注高は、「建設工事受注動態統計調査」の土木工事を除く元請け受注高から、上記の改装・改修工事受注高を除した値を記した(資料:サトウファシリティーズコンサルタンツ)
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