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同業他社へ転職した元社員が、営業秘密に当たるデータを持ち出した。元の職場側は不正競争防止法違反の容疑で刑事告訴、さらに民事訴訟も提起する強攻策に出た。元の職場側が勝訴した裁判から教訓を探る。(日経アーキテクチュア)

家電大手のエディオンから上新電機へ転職した住宅リフォーム事業担当者が、退職前後にエディオンの原価表などを無断で持ち出していることが発覚した。エディオン側は刑事告訴を交えた強攻策で上新電機側を追及した
家電大手のエディオンから上新電機へ転職した住宅リフォーム事業担当者が、退職前後にエディオンの原価表などを無断で持ち出していることが発覚した。エディオン側は刑事告訴を交えた強攻策で上新電機側を追及した

 不正競争防止法(以下、不競法)は、事業者が秘密として管理している情報で、かつ公然と知られていないものを「営業秘密」だと定義している。この秘密情報を故意や重大な過失により漏洩させた場合、刑事罰に問われる。これは民法上の不法行為として損害賠償の対象ともなり、情報を漏洩させた当人だけでなく、雇用主にも使用者責任が追及される。

 今回取り上げるのは、東証1部上場企業同士が住宅リフォーム事業にまつわる秘密情報を巡って争った事案だ。

 概要を説明しよう。原告は家電販売大手のエディオン、被告は同社で住宅リフォーム事業を担当していた元社員と、転職先の上新電機だ。

 元社員がエディオンを退職したのは2013年12月。翌月、上新電機に採用された。この転職の際、エディオン側の営業秘密が持ち出されたという疑惑が浮上した。エディオンは社内外での調査の結果、大量のデータが漏洩し、上新電機により利用されたことを確認した。