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名古屋市の商業地域で15階建てマンションが完成した。日照が奪われたとしてデベロッパーと建設会社を提訴した隣地の幼稚園は、建築行為による日照阻害を「子どもの権利」の侵害だと強く非難した。(日経アーキテクチュア)

名古屋市の商業地域に完成した15階建てマンションを巡り、デベロッパーに損害賠償命令が下った。判決は建築物について「公的規制に反していない」とした一方で、計画に際して市の中高層建築物紛争予防条例が求める近隣との「協議」が適切に行われていなかった、と判断した
名古屋市の商業地域に完成した15階建てマンションを巡り、デベロッパーに損害賠償命令が下った。判決は建築物について「公的規制に反していない」とした一方で、計画に際して市の中高層建築物紛争予防条例が求める近隣との「協議」が適切に行われていなかった、と判断した
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 新たな建築物が既存施設などの日照や通風を妨げた場合でも、直ちに「不法行為」が成立するとは限らない。社会的に見て、被害が受忍限度を超えたと認められる場合に、初めて加害者側に不法行為責任が発生する。これを「受忍限度論」という。

 受忍限度を超えたと言えるかは、侵害された権利の性質、損害の内容や程度、地域性、加害や被害の回避可能性、先住関係、交渉経過など、様々な状況を総合的に考慮して判断する。建築関連諸法の規制を守っていたとしても違法となる場合がある。

 今回取り上げる判決は、隣地に高層マンションが新築され、日照が阻害されたとして、名古屋市内の幼稚園がマンションデベロッパーと建設会社を訴えた事案の確定判決だ。争点は、受忍限度論における「子どもの権利」の考慮だった。