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自治体の土地区画整理事業によって分譲された宅地で、河川氾濫による床上浸水が発生した。被害者7人が自治体を訴えた集団訴訟で、京都地方裁判所は自治体の説明義務違反を認定、損害賠償を命じた。(日経アーキテクチュア)

近畿地方を襲った2013年台風18号で、1級河川の由良川が氾濫、多数の床上浸水被害が発生した。この中には福知山市が土地区画整理事業によって整備し、販売した宅地があった。市は防災ハザードマップを公開していたが、販売時にその内容説明はしていなかったという
近畿地方を襲った2013年台風18号で、1級河川の由良川が氾濫、多数の床上浸水被害が発生した。この中には福知山市が土地区画整理事業によって整備し、販売した宅地があった。市は防災ハザードマップを公開していたが、販売時にその内容説明はしていなかったという
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(関連記事:日経アーキテクチュア2020年8月13日号特集「耐水建築」)

 最近、国土交通省が宅地建物取引業法(宅建業法)の施行規則を改正したのをご存じだろうか。2020年8月28日に施行されており、宅地売買時に売り主から買い主へ対する水害リスクの説明義務を定めたものだ。今回は、法令改正に先立って売り主責任を認めた画期的判決、福知山水害訴訟の1審判決を解説したい。

 問題となった宅地で水害が生じたのは13年9月。台風18号により近畿圏で大雨となり、京都府福知山市を流れる1級河川の由良川が氾濫。多数の床上浸水被害が出た。原告団は被災した住民のうち7人だ。

 原告はいずれも、福知山市が自ら売り主となって販売した宅地の購入者。京都府認可による土地区画整理事業だ。3人(買い主原告)は市から直接宅地を購入、4人は不動産事業者などの仲介により購入していた。販売開始は2010年ごろで、水害の3年前のことだ。原告の中にはまだ建物を建築中の人もいた〔図1〕。

〔図1〕ハザードマップは公開していたが…
2006年 福知山市が防災ハザードマップを公開
2010年 福知山市の石原地区について、京都府が認可した土地区画整理事業が完了。施行者は福知山市。近隣の由良川は過去に何度も氾濫しており、この用地では工事中の04年にも台風で冠水被害が出ていた。ハザードマップでは3mから5mの浸水想定区域だった
2011年 原告7人がこの年までに土地を購入し、住宅を建設した。3人は宅地を市から直接購入し、4人は不動産事業者の仲介により土地を購入していた
2013年 9月 2013年台風18号が近畿地方に上陸。由良川が氾濫し、災害救助法が適用される規模の床上浸水被害が発生した
2015年から2016年 原告7人が市を相手取って京都地方裁判所へ提訴
2017年10月 2017年台風21号により一部の原告が再び浸水被害に遭う
2020年 6月17日 1審判決。京都地裁は市から直接宅地を購入した3人について、市の説明義務違反を認定、約811万円の損害賠償を命じた。4人の請求は棄却した。市と原告は控訴した
事件の概要。問題となった宅地は福知山市が施行者となって開発したものだが、土地区画整理事業の実施中にそのエリアが浸水想定区域に当たるとする防災ハザードマップを公表していた(資料:判決文を基に日経アーキテクチュアが作成)

 原告側は市を相手取り、京都地方裁判所へ提訴。「市は、過去の水害の発生状況から、浸水被害に遭う危険性などについて説明すべきだったにもかかわらず、これを怠った」と主張し、不法行為責任または国家賠償法1条1項に基づき、合計約6000万円の損害賠償を求めた。

 市側は「ハザードマップは公表しており、説明責任はこの配布で尽くされている。買い主との間に情報格差はなかった」と主張して争った。