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建設会社は「過失なし」

 コストコは被災後、被害者遺族への補償や店舗の復旧を実施、多額の損害が発生した。もっとも民事訴訟の原告の保険会社2社が保険金支払いに応じることでこの損害はカバーされた。

 保険会社2社は、損害原因が設計者や施工者の過失によるものなら、共同不法行為に基づく損害賠償請求権や、求償請求権があるとして、設計3社と建設会社を相手取って14年8月から16年4月にかけて東京地方裁判所へ訴えた。提訴は合計3件。東京地裁はこれらを併合し1つの裁判として扱った〔図2〕。

〔図2〕刑事訴訟では東京高裁で構造設計者の無罪が確定
〔図2〕刑事訴訟では東京高裁で構造設計者の無罪が確定
事態の推移。竣工から約10年後に事故が起こった。刑事訴訟では構造設計者の責任が問われたが、2審で無罪が確定している(資料:判決文を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 原告側、被告側とも全面的に争ったが、東京地裁は19年6月7日、設計3社の過失を認め、欧米保険会社2社に合計約7億円の請求を認める判決を下した。一方、建設会社は「過失なし」とした。原告側、被告側とも控訴した。

 判決のポイントは不法行為の立証だ。不法行為が成立するためには、加害者の行為と損害を結ぶ因果関係が必要になる。この判決は、設計・監理に携わった意匠設計事務所、構造設計事務所A、構造設計事務所Bについて、それぞれ「行為が競合して損害原因になった」としている。

 設計段階の事実認定を詳細に見ていこう。

 建物は延べ面積1万m2を超す鉄骨(S)造の大規模施設で、屋上駐車場を含めて4層から成る。1階と2階を売り場、3階と屋上を駐車場とする構成だ。地上から3階駐車場へはスロープ(下層スロープ)でつながれ、3階から屋上駐車場へは別のスロープ(上層スロープ)を通る必要があった。崩落したのは上層スロープだ。