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都市部で新設が相次ぐ「納骨堂」の建築確認を巡り、建設に反対する住民が指定確認検査機関を提訴した。納骨堂は宗教施設ではなく「倉庫業を営む倉庫」なので、建設予定地である第一種住居地域では行政庁の許可がなければ建築が禁じられる用途だ、というのが訴えの根拠だ
都市部で新設が相次ぐ「納骨堂」の建築確認を巡り、建設に反対する住民が指定確認検査機関を提訴した。納骨堂は宗教施設ではなく「倉庫業を営む倉庫」なので、建設予定地である第一種住居地域では行政庁の許可がなければ建築が禁じられる用途だ、というのが訴えの根拠だ
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都市部で新設が相次ぐ「納骨堂」は、宗教施設と言えるのか──。大阪市内で計画された納骨堂を巡り、建築基準法上の用途違反に該当するとして、建築確認の取り消しを求める集団訴訟が巻き起こった。(日経アーキテクチュア)

 今回取り上げる事件は、いわゆる「納骨堂」を巡る建設反対訴訟だ。まず概要を説明しよう。

 問題の建築計画は、大阪府内で仏教寺院を運営する宗教法人A寺の代表役員(訴外)が建築主となったもの。大阪市内の用地に「納骨堂」を建設するという計画だ。故人を荼毘(だび)に付した後、遺骨を収蔵し、法要などを行う施設となる。

 施設は鉄筋コンクリート造の地上6階建てで、高さ24.5m、延べ面積1891.13m2。6000基以上の遺骨を収める納骨施設、複数の参拝室や法要室(本堂部分)を備えていた。

 A寺代表役員は2017年7月、指定確認検査機関に確認申請を実施した。計画名称は「A寺別院改築工事」。主要用途は「寺院」、工事種別は「新築」だ。確認検査機関は申請を受理、翌8月に建築確認を下ろした。

「お寺じゃなくて倉庫だ」

 これに異を唱えたのが、建設に反対する近隣住民だ。反対派には近隣の複数の住民のほか、予定地の隣地を所有する法人も名を連ねていた。

 住民側が問題視したのは、施設が極めて大規模な納骨堂だということだ。この施設は遺骨を宗派問わず受け入れ、家族だけでなく知人やペットの遺骨も対象とするという触れ込みでもあった。こうした点から住民側は、施設の建設目的について「宗教法人本来の宗教活動ではなく、倉庫事業に当たる」と、強く反発した。

 建築予定地は第一種住居地域だったので、納骨堂が倉庫事業目的であるなら、この用途は建築基準法48条5項が定義する「第一種住居地域に建築してはならない建築物」(別表第2(ほ))の1つ、「倉庫業を営む倉庫」に該当する可能性がある。

 もし該当する場合、建築主は建基法48条ただし書きに基づく自治体の許可を受ける必要がある。住民側は、確認検査機関には「倉庫業を営む倉庫」に該当するのに確認を下ろしたという違法があるとして、建築確認の取り消しを求めた。

 住民側は17年10月に大阪市建築審査会へ審査請求を実施したが、一部却下、一部棄却の裁決を受けた。国土交通大臣への再審査請求も棄却され、19年7月17日、確認検査機関を相手取り、確認取り消しを求めて大阪地方裁判所へ提訴した。

 19年12月に施設が完成したことを受け、原告側は訴えを確認検査機関や特定行政庁である大阪市への国家賠償請求などに切り替えた。請求額は11万円。被告側は「建築確認は適法」と主張して争った〔図1〕。

〔図1〕第一種住居地域で巻き起こった納骨堂騒動
〔図1〕第一種住居地域で巻き起こった納骨堂騒動
事件の概要。原告側は納骨堂に対する建築確認について審査請求や取り消し訴訟を実施したが、工事は止められなかった(資料:判決文を基に日経アーキテクチュアが作成)
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