大阪大学を舞台とした研究費不正問題で、耐震工学の研究者と鉄筋コンクリート造用部材を共同開発していた建築材料メーカーが贈賄の罪を問われた。産学連携における研究委託契約の在り方を再考する。(日経アーキテクチュア)

大学など教育機関と民間企業が連携する“産学連携”が制度化されたのは、1990年代のことだ。産学連携は企業にとって、大学の研究設備を利用し、かつ過去の研究成果や技術を活用できるメリットがある。一方の大学側でも、事業者の視点から研究テーマを見つけるといった活性化が期待でき、予算面でも事業者に期待するところが大きい。
だがこの場合、所属研究者が特定の企業から金銭を得ることとなり、特に国公立大学の場合、公務員としての公正性を疑われる可能性もある。今回取り上げるのはその一例だ。