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名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)で2022年10月、新たな展示館がオープンした。波状にうねる屋根とガラスファサードが湾岸風景に映える。名古屋市は拡大するMICE(会議・展示)需要の獲得に意気込む。

名古屋港の中央に位置する金城ふ頭で2022年6月に完成した、名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)第1展示館(名古屋市)。あおなみ線金城ふ頭駅と外部デッキで直結する。海が望める立地に映える、波をモチーフにしたうねる外装が特徴だ(写真:車田 保)
名古屋港の中央に位置する金城ふ頭で2022年6月に完成した、名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)第1展示館(名古屋市)。あおなみ線金城ふ頭駅と外部デッキで直結する。海が望める立地に映える、波をモチーフにしたうねる外装が特徴だ(写真:車田 保)
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 多段状の屋根がダイナミックにうねり、ガラスファサードには輝く海面や行き交う貨物船、対岸の工場群が映る。催事への期待を膨らませながら中へ入ると、視界が抜ける明るいコンコース空間に高揚感が増す。名古屋市国際展示場(ポートメッセなごや)に新しく完成した第1展示館だ。海辺の立地を生かし、開放的な展示場とした〔写真1〕。

〔写真1〕海側へ向かってガラス壁が巡る
〔写真1〕海側へ向かってガラス壁が巡る
西側から見た第1展示館の外観。展示面積約2万m2の長大な展示ホールをL字形に取り巻くように多段状の横ぶき屋根とガラス壁が巡る。写真奥があおなみ線金城ふ頭駅。写真左手に延びる外部デッキによって、既存施設と2階レベルでつながる(写真:車田 保)
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 ポートメッセがある金城ふ頭は、自動車の主要輸出拠点。「レゴランド・ジャパン・リゾート」や「リニア・鉄道館」などの集客施設もある。3つの展示館などから成るポートメッセは、名古屋圏の基幹コンベンション拠点だ〔写真23〕。中核を担ってきた旧第1展示館が老朽化したため移転・新築し、2022年10月にオープンした。

〔写真2〕集客施設が点在する湾岸エリア
〔写真2〕集客施設が点在する湾岸エリア
ポートメッセなごや一帯を西側上空から見る。1973年に旧第1展示館を開館して以降、87年に第2展示館、93年に第3展示館と拡張を重ねてきた(写真:エスエス)
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〔写真3〕点在する各館は駅から2階レベルでつながる
〔写真3〕点在する各館は駅から2階レベルでつながる
あおなみ線金城ふ頭駅から第1展示館につながる「にぎわいデッキ」の入り口。木質化したゲートが来場者を誘導する(写真:エスエス)
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第1展示館の入り口前からコンベンションセンター側に枝分かれするにぎわいデッキの様子。複数の展示館を利用した回遊型の催事も多い(写真:車田 保)
第1展示館の入り口前からコンベンションセンター側に枝分かれするにぎわいデッキの様子。複数の展示館を利用した回遊型の催事も多い(写真:車田 保)
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 設計は久米設計・竹中工務店JV、施工は竹中工務店が担当した。維持管理は日本管財が担う。事業主体は、竹中工務店を代表に3社で構成する特別目的会社(SPC)の名古屋モノづくりメッセ。名古屋市のPFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業で、旧第1展示館の解体を含む総事業費は約346億円に上る。