Brillia Tower 西新/PRALIVA(福岡市)
過大商業施設を身の丈に減築
既存施設を超高層住宅と一体で再々開発 発注:東京建物、西日本鉄道、三菱地所レジデンス 設計・施工:竹中工務店
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築40年の大型商業施設の大胆な減築・改修と同時に、超高層住宅を増築し、新しい街に再構築した。既存施設は床面積を3分の1まで縮小、地元商店街との回遊性を高める商業施設に生まれ変わった。
西新商店街の交差点から見た西向きの全景。手前の建物は、地上8階建てだった大型商業施設を地上4階建てまで減築し、スケルトン改修で再生した商業施設「PRALIVA」。奥に立つのは、減築などで生じた空間に増築した地上40階建ての超高層マンション「Brillia Tower 西新」。地下で福岡市地下鉄空港線・西新駅に直結する(写真:岡本 公二)
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「この商業施設が、既存の建物を減築して再利用したものだと気付く一般の利用者はまずいないだろう。既存部分の階高は低いが、全く違和感を抱かせないデザインに刷新されている」。そう話すのは、福岡市早良区にある商業施設「PRALIVA(プラリバ)」の事業を手掛けた東京建物九州支店課長代理の馬場大地氏だ。
PRALIVAは、築40年の大型商業施設の建物を大胆に減築し、全面改修したものだ。以前、地上8階建てだった建物は、地上4階建てになった。上層階だけでなく建物の外周も大きく削り取り、約3万m2あった床面積を約1万m2まで縮小した。
一方、減築などで生じた空間を利用して地上40階建ての超高層マンションを建設。2021年4月、商業施設と住宅が一体の「Brillia Tower 西新(にしじん)/PRALIVA」としてグランドオープンを迎えた。一連の設計・施工は竹中工務店が担当。事業では、福岡市の総合設計制度を利用して容積率の割り増しを受け、全体の延べ面積は減築前よりもはるかに大きい約5万m2に膨らんだ〔写真1~3、図1〕。
〔写真1〕商業床を減らし住宅を新設
左は2015年に閉店した減築前の商業施設。右は減築・改修・増築後の現在の建物(写真:左は竹中工務店、右は岡本 公二)
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〔写真2〕超高層マンションの下層階は自走式駐車場
直下に地下鉄駅がある明治通り越しに見る北側の外観。右半分は既存躯体を再利用した商業施設、左は増築した超高層マンション。ステンレス製のルーバーで覆った地上2~6階は居住者用の約150台分の自走式駐車場。中間層免震を挟んだ7階から上に住宅共用部や住居が入る。住戸数は306戸(写真:岡本 公二)
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〔写真3〕商業施設を先行開業
北東から見た施工プロセス。早くから詳細な設計を詰めて、減築しつつ最大限に既存躯体を再利用した。減築後の既存躯体を改修した商業施設を2019年7月に先行開業して、超高層マンションの建設を進めた。なお、1981年完成の既存建物も竹中工務店が施工を手掛けた(写真:3点とも竹中工務店)
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〔図1〕総合設計制度で容積率アップ
上層階や東側半分など、既存建物を大きく減築し、商業施設の床面積を3分の1に減らした。減築で生じた余剰空間と、総合設計制度による容積率割り増しで超高層マンションを建設した(資料:竹中工務店の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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