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大型の面材というCLT(直交集成板)の特徴を生かした木造のオフィス建築。大判のCLTをかみ合わせながら組み上げた強固な架構が、開放的で変化に富む建築空間になっている。

木造建築用の接合金物の開発・製造・販売などを手掛けるストローグの新社屋。大判のCLT(直交集成板)を組み上げた架構の形状がそのまま外観に現れている(写真:浅田 美浩)
木造建築用の接合金物の開発・製造・販売などを手掛けるストローグの新社屋。大判のCLT(直交集成板)を組み上げた架構の形状がそのまま外観に現れている(写真:浅田 美浩)
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 大判のCLT(直交集成板)にスリットを切り込み、井桁状にかみ合わせながら組み上げた木造建築が完成した。23枚のCLTを組んだ架構の立ち姿は、完成後もそのまま内外観に見ることができる〔写真12〕。建物内部には、中空に分厚い小口を見せて、現しのCLTが行き交う開放的な空間が広がる〔写真35〕。

〔写真1〕23枚のCLTを組み上げる
〔写真1〕23枚のCLTを組み上げる
2021年12月の建て方の様子。CLTの大きさは、幅3m、長さ4.5~12m。23枚を上下にかみ合わせながら組んだ。使用したのは国産ヒノキのCLTで、厚さは210mm(写真:2点ともマウントフジアーキテクツスタジオ)
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〔写真2〕架構をそのまま見せる外観
〔写真2〕架構をそのまま見せる外観
CLTの架構に仕上げを施した完成後の正面外観。外部に面するCLTは、金属板やヒノキの仕上げ材を張っている(写真:浅田 美浩)
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〔写真3〕分厚い小口に大判の迫力
〔写真3〕分厚い小口に大判の迫力
1階の事務スペースからエントランス方向を見る。内部はCLTの架構が現しの空間。随所に見られる分厚い小口が、大判のCLTが持つ迫力を引き立てている(写真:浅田 美浩)
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〔写真4〕2枚のCLTで受けて安定
〔写真4〕2枚のCLTで受けて安定
エントランスから内部を見渡す。行き交うCLTに見え隠れしながらひとつながりの空間が連なり、場所によって違った雰囲気がある。CLTが転倒しないように、上方のCLTを下2枚のCLTで受けてバランスを取っている(写真:浅田 美浩)
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〔写真5〕2階床は在来工法
〔写真5〕2階床は在来工法
2階の会議室。床は在来工法でつくり、両側のCLTで水平方向に支持している。この架構はCLTが大きな壁柱になるので、任意の高さに床を架けることができる(写真:浅田 美浩)
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 使用したCLTは国産ヒノキ製で、厚さは210mm。板としてのサイズは、幅3m、長さ4.5~12m。今、国内で製作可能な最大寸法3×12mのCLT原板を、必要に応じて長さ方向だけカットして使っている。