タクマビル新館(研修センター)(兵庫県尼崎市)
集成材でダブルスキンを支持
CLT耐震壁のコアで支える都市木造 発注:タクマ 設計・施工:竹中工務店
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集成材で支持するダブルスキンによって建物全体を覆ったガラス建築が完成した。建物自体は、CLT耐震壁と鉄骨ラーメンのハイブリッド構造による2時間耐火の大規模都市木造だ。
東から見た全景。2~6階の外周全体をダブルスキンの外皮で覆っている。従来、アルミなどの金属部材を用いてきたダブルスキンの支持を、集成材で実現した。左端に見えるのは既存の本館(写真:生田 将人)
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建物を包む全面ガラスを透かして、縦横に行き交う木の格子が見える。ダブルスキンの外皮を支える集成材だ。水平方向の横桟は、各階高を4分割した約1m間隔で、2階から最上階の6階まで架かる。それらの水平材を受ける鉛直材は3.2m間隔で立つ〔写真1〕。鉛直材は、北面だけが耐火集成材の構造柱、その他の3面は集成材のマリオンだ〔写真2〕。
〔写真1〕1m間隔で水平材を渡す
既存の本館から見た南面。各階高を約1mごとに4分割して横連窓にガラスを割り付け、集成材の横桟で支持している。集成材のマリオンは3.2m間隔に立つ(写真:生田 将人)
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1階が後退した建物の足元まわり。免震のエキスパンションジョイントがある。1階の外壁はヒノキ板張り(写真:生田 将人)
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〔写真2〕街ににじみ出す木質感
北西から見た全景。道行く人や車にも木質感を伝えることを意図したガラス建築。右奥は1995年に竣工した地上10階建ての本館。本館も竹中工務店の設計・施工(写真:生田 将人)
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「街から見上げる建物なので、水平部材が多いほうが外観の木質感は高まる。そこで、横桟が多くなる横連窓にガラスを割り付けるファサードとした」。設計を担当した竹中工務店大阪本店設計部設計第4部門設計3グループ長の神田泰宏氏は、そう説明する。同社は、この建物の設計・施工を手掛けた。