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広島県尾道市の観光名所、千光寺公園に頂上展望台がオープンした。東側のエレベーターシャフトと西側のらせん階段を、全長63mの橋梁型デッキでつなぐ。展望デッキからは、尾道の市街地や瀬戸内の島々が一望できる。

 JR山陽本線・尾道駅から北側を眺めると、目に入る小高い山が千光寺山だ。千光寺公園は、その山頂から中腹にかけて広がる尾道市を代表する観光スポット。園内には尾道市立美術館(設計:安藤忠雄建築研究所)や遊歩道「文学のこみち」などがあり、春は花見客でにぎわう。

 同公園の山頂エリアにこの3月、「千光寺頂上展望台 PEAK(ピーク)」がオープンした。駅前のロータリーから見上げると、木々の緑の上に橋のように浮かぶ姿が印象的だ。設計は、尾道市が2018年に実施した公募型プロポーザルで選ばれたAS(東京都港区)が手掛けた。

 山頂に架かる“橋”は、千光寺山ロープウェイ山頂駅に接続する全長63mの展望デッキだ。ロープウエー駅からデッキへ上がるエレベーターをエリアの東側に、コンクリート製のらせん階段を西側に設置した。らせん階段は、円形平面の旧展望台(設計:佐藤武夫)が立っていた場所の脇に建設されている〔写真12〕。

〔写真1〕旧展望台の代わりにらせん階段
〔写真1〕旧展望台の代わりにらせん階段
頂上展望台越しに、南側の尾道水道や対岸の向島を見下ろす。プロポーザル時は旧展望台を残して同レベルに橋を架ける提案をしたが、耐震性の面で課題のある旧展望台は解体。代わりにコンクリート製の緩やかならせん階段を設けた(写真:生田 将人)
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〔写真2〕山頂に浮かぶ展望台
〔写真2〕山頂に浮かぶ展望台
尾道水道を運行する渡し船から見上げる。木々の向こうの山頂に展望台が橋のように浮かんでいるのが分かる。山頂へは尾道特有の坂道か、写真右手に見えるロープウエーでアクセスする(写真:生田 将人)
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