2022年3月、名古屋駅に近い新幹線の高架下に、木造2階建てのオフィスビルが完成した。テナント社員は高架のコンクリート柱と、木の柱や梁が混在する大空間で働く。
新幹線が走る高架下に、木造2階建てのオフィスビルをつくる──。JR東海の子会社である名古屋ステーション開発(名古屋市)が建設した「ささしま高架下オフィス」が、3月1日に完成した。地元のスタートアップ企業であるスタメン(名古屋市)が1棟借りし、同月7日に本社を移転した〔写真1〕。
建物は高架下という立地に合わせた細長い平面プランとしている。長手は約46mだ。建物のすぐ横を在来線が並走する。
敷地面積は約1392m2、延べ面積は約985m2。建物の高さは約10mで、通常の2階建てビルよりゆとりがある。設計はMARU。architecture(マル・アーキテクチャ)(東京都台東区)、施工はシーエヌ建設(名古屋市)が手掛けた。
オフィスの2階部分はキャンチレバーで高架下の外に向かって突き出ている。約2.6m跳ね出すことで地上に鉄道点検車両用の通路を確保しつつ、オフィス空間を広げた。車両通路と並び、市が整備した歩道が22年春に供用開始。新興開発エリア「ささしまライブ24地区」から名古屋駅への行き来が一層便利になった。
オフィス内部は高架の柱や梁と、木造躯体が混在した空間だ。太いコンクリート柱が何本も貫通し、一見すると武骨な印象を受ける。一方で木造の長い梁や耐力壁も目立ち、木の香りが漂う木造らしい空間を実現している〔図1〕。