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熊本市の玄関口である熊本駅前に2021年4月、大型商業施設「JR熊本駅ビル」が開業した。見どころは、雄大な熊本の自然を、7層の吹き抜け空間に表現した「水と緑の立体庭園」だ。

2021年3月に完成した駅前広場に面した北側の正面全景。8階までは商業施設「アミュプラザくまもと」、9階から12階は宿泊施設「THE BLOSSOM KUMAMOTO」が入る(写真:イクマ サトシ)
2021年3月に完成した駅前広場に面した北側の正面全景。8階までは商業施設「アミュプラザくまもと」、9階から12階は宿泊施設「THE BLOSSOM KUMAMOTO」が入る(写真:イクマ サトシ)
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 2021年4月23日、熊本市の熊本駅前に複合商業施設「JR熊本駅ビル」が開業した。1カ月前の3月にできたばかりの駅前広場と、安藤忠雄氏の設計で19年に完成した新駅舎に面して、地上12階建ての建物が立ち上がる〔写真1〕。延べ面積は約11万m2。1階から8階までは物販・飲食店舗とシネマコンプレックス、結婚式場が入り、9階から12階まではホテルという構成だ。

〔写真1〕安藤忠雄氏設計の新駅舎に隣接
〔写真1〕安藤忠雄氏設計の新駅舎に隣接
駅前広場に架かる歩道橋から見る全景。広場に面した間口は約58m。右に見えるのは、安藤忠雄氏の設計で2019年に完成した熊本駅舎(写真:イクマ サトシ)
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 駅前広場に向けて約16m張り出す巨大な庇は、この建物のエントランスであるのと同時に、駅前を行き交う歩行者の動線にもなっている〔写真2〕。その庇の奥から建物内に入って最初に呼び覚まされる五感は、聴覚だ。ザーッと豪快な水音が立つ方向に目を向けると、3階の縁から高さ10mほどの滝が流れ落ちているのが見える。

〔写真2〕駅前広場と一体化した深い庇
〔写真2〕駅前広場と一体化した深い庇
エントランス部分には奥行き約16mの庇が、駅前広場に向けて張り出す。舗装を駅前広場と統一して仕上げてあり、歩行者は双方の敷地境界を意識することなく利用している(写真:イクマ サトシ)
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