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藤本壮介氏が設計した自身最大の公共建築が宮城県石巻市に誕生した。白い家並みのような形をした細長い建物に、複数の文化施設を埋め込んだ。

三角形や四角形の建物が連なるような「マルホンまきあーとテラス 石巻市複合文化施設」。復興のシンボルになることを意図した文化施設だ。施設名のマルホンは、施工を手掛けた地元の丸本組が取得した命名権(ネーミングライツ)によるもの。まきあーとは愛称の応募で選ばれた、石巻の「まき」と芸術の「アート」を組み合わせた言葉(写真:吉田 誠)
三角形や四角形の建物が連なるような「マルホンまきあーとテラス 石巻市複合文化施設」。復興のシンボルになることを意図した文化施設だ。施設名のマルホンは、施工を手掛けた地元の丸本組が取得した命名権(ネーミングライツ)によるもの。まきあーとは愛称の応募で選ばれた、石巻の「まき」と芸術の「アート」を組み合わせた言葉(写真:吉田 誠)
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 東日本大震災で津波による大きな被害が出た宮城県石巻市で、新しい公共施設が完成した。2021年4月に開館した「マルホンまきあーとテラス 石巻市複合文化施設」である。街の新たなランドマークになるべく建設された。地上4階建てで、特徴は真っ白な正面の外観だ。

 家形や煙突形の建物が横一列に並んでいるように見える。緑の中に「白い街」が突如出現したかのようだ。

 施設を設計したのは、藤本壮介建築設計事務所(東京都江東区)である。震災から約5年半が経過した16年に、市が実施した公募型プロポーザルで選ばれた。総事業費は約130億円、延べ面積は約1万3200m2と、同事務所代表取締役の藤本壮介氏にとって、金額と広さともに過去最大の公共建築になった。

 石巻市は震災で市街地の多くを失った。市で唯一の大ホールを備えた石巻市民会館と、博物館機能と小ホールがある石巻文化センターは使用不能となり、解体された。文化芸術活動の拠点を無くした市は新しい複合施設の設計を公募し、藤本氏の手で約10年ぶりに再建を果たした。

 コロナ禍での開館になり、記念公演などは中止された。しかし、21年6月に「アニメージュとジブリ展」が開幕。約1カ月で来場者が1万人を突破した。まきあーとテラスは早くも、石巻観光の目玉になりつつある。

 8月末には、21年で3回目となる石巻市を中心にした芸術祭「Reborn-Art Festival 2021-22」の音楽ライブが、まきあーとテラスの大ホールで開催されることが決まった〔写真1〕。音楽プロデューサーの小林武史氏が大ホールを下見し、この場所を選んだ。

〔写真1〕細長い建物を貫くロビー
〔写真1〕細長い建物を貫くロビー
大ホール(劇場、左手)前のロビーが建物奥の突き当たりまで続く。白い壁と床に、幾つもの開口から光が差し込む。天井も高く、開放的だ(写真:吉田 誠)
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