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自身が設計した文化施設を公共に寄贈する──。かつてそんな建築家がいただろうか。ここには、子どもを魅了する仕掛けとともに、「建築の未来」へのメッセージが込められている。

入り口のある南西側から見た外観。外壁はコンクリート打ち放し。安藤忠雄氏は「建物の外壁にツタをはわせようとしている。3年くらいで緑に包まれると思う」と話す(写真:生田 将人)
入り口のある南西側から見た外観。外壁はコンクリート打ち放し。安藤忠雄氏は「建物の外壁にツタをはわせようとしている。3年くらいで緑に包まれると思う」と話す(写真:生田 将人)
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 現地を訪れる前からニュース報道で館内の様子を何度か見ていた。だが、想像とは違っていた。「なるほど、そうか」。そんな心地よい裏切りを感じる人が多いに違いない。

 大阪市の「こども本の森 中之島」が2020年7月5日に開館した。当初は3月1日に開館する予定だったが、新型コロナウイルス拡大防止のため、約4カ月遅れのスタートとなった。

 場所は大阪市北区、中之島公園内の堂島川沿い〔写真1〕。市の土地に、安藤忠雄氏が建物を建てて寄贈した。設計は安藤忠雄建築研究所だ。

〔写真1〕川に映えるコンクリート打ち放し
〔写真1〕川に映えるコンクリート打ち放し
堂島川の対岸から見た北側外観。右側が入り口のテラスとポーチ、左側が閲覧室。計画発表時のガラス張りの外観とはかなり印象が変わった(写真:生田 将人)
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