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山をイメージした階段状の外観とテラス、4層吹き抜けの空間で、市民を駅前に引き寄せる。来館者は読書や学習、飲食などに自由な時間を過ごす。多様な居場所を提供する滞在型図書館だ。

北東側全景。階段状に建物をセットバックさせ、緑あふれる外部テラスを設けて、周囲への圧迫感を抑えている。館内は、テラスを含めて、どこでも本が楽しめる(写真:車田 保)
北東側全景。階段状に建物をセットバックさせ、緑あふれる外部テラスを設けて、周囲への圧迫感を抑えている。館内は、テラスを含めて、どこでも本が楽しめる(写真:車田 保)
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 名鉄小牧線・小牧駅から徒歩2分。2021年3月末に開館した「小牧市中央図書館」は、本と共にゆっくり過ごすための滞在型図書館だ。各階に読書や飲食ができる座席があり、外部テラスも含めて館内全域に本を持ち出せる。

 設計は、小牧市が17年に実施した公募型プロポーザルで選ばれた新居千秋都市建築設計(東京都目黒区)が手掛けた。当初の計画案を、15年の住民投票を経て見直した上での設計者選定だった。

 建物は、階段状にセットバックし、各階に緑化したテラスを設けた外観が特徴だ。「市街地の西に位置し、地域の象徴でもある小牧山を手掛かりに、駅前に『小さな小牧山』をつくった」と新居千秋都市建築設計の新居千秋代表は説明する〔写真1~3〕。

〔写真1〕4層吹き抜けのホール
〔写真1〕4層吹き抜けのホール
4層吹き抜けのエントランスホール。「来館者は、吹き抜けと各階をつなぐ階段を思わず見上げる。写真を撮る人も多い」と、施設運営係の職員。右手奥が北入り口(写真:車田 保)
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〔写真2〕「小さな小牧山」をつくる
〔写真2〕「小さな小牧山」をつくる
東の駅側から見下ろす。写真中央奥に見えるのが小牧山。駅前に「小さな小牧山」をつくることで、市民が自由気ままに過ごせる居場所とした(写真:車田 保)
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〔写真3〕入り口の右手にカフェ
〔写真3〕入り口の右手にカフェ
北側を見る。写真中央に北入り口、その右手にカフェがある。手前の歩行者専用道路はイベント広場になり、マルシェなどを開ける(写真:車田 保)
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 市民が誇りや愛着を持て、街の活力につながる施設とするために、設計は皆で話し合って決めるプロセスを重視して進めた。「特に今回は、実際に図書館を使う中学・高校生やPTAのお母さんたちの声を中心に聞いて、設計に反映させた」(新居代表)