全4035文字

築94年、歴史的建造物である「旧京都中央電話局」の再々開発事業「新風館」が6月に開業した。コミュニティー型ホテルを中心とした複合商業施設で、街の回遊性に変化を与える。

6月11日にグランドオープンを迎えた「新風館」を西側から見る。左側のタイル部分が、「旧京都中央電話局」を改修した保存建物。右側は隈研吾氏がデザイン監修を手掛けた増築建物で、烏丸通側のエントランス(写真:生田 将人)
6月11日にグランドオープンを迎えた「新風館」を西側から見る。左側のタイル部分が、「旧京都中央電話局」を改修した保存建物。右側は隈研吾氏がデザイン監修を手掛けた増築建物で、烏丸通側のエントランス(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
「新風館」は3方の道路に面してそれぞれ個性的なエントランスを持つ。写真は、烏丸通側から入った商業エリアへのアプローチ空間。左手に姉小路通に抜ける小路がある。右手には、東洞院通に通じる「パサージュ」がある(写真:生田 将人)
「新風館」は3方の道路に面してそれぞれ個性的なエントランスを持つ。写真は、烏丸通側から入った商業エリアへのアプローチ空間。左手に姉小路通に抜ける小路がある。右手には、東洞院通に通じる「パサージュ」がある(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
増築建物の北側に設けたホテルのエントランス(写真:生田 将人)
増築建物の北側に設けたホテルのエントランス(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
東洞院通に面した東側エントランス。ルーバーと同色に着色した金網のスクリーンで覆った(写真:生田 将人)
東洞院通に面した東側エントランス。ルーバーと同色に着色した金網のスクリーンで覆った(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]

 京都市のビジネス街といわれる烏丸御池駅近くで、再々開発となる新生「新風館」が6月11日にグランドオープンした。建物は、京都市指定登録文化財第1号である「旧京都中央電話局」(1926年完成)を活用。地上3階建ての保存建物と、地上7階建ての増築建物から成る、延べ面積約2万5600m2の施設だ〔写真1〕。事業主はNTT都市開発で、デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)、設計はNTTファシリティーズ、施工は大林組が担当した。

〔写真1〕中庭に続くエントランス
〔写真1〕中庭に続くエントランス
ドイツ表現主義などの影響を受けた、吉田鉄郎らしい意匠が特徴的な北側ファサード。エントランスは中庭の小路へとつながる(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]

 もともとNTT都市開発は2001年に、オフィスに特化したエリアに立つ「旧京都中央電話局」を商業施設へ改装し、新たな商圏を生み出そうとした経緯がある。当時、NTTファシリティーズとリチャード・ロジャース・パートナーシップ・ジャパンが設計を手掛け、10年間限定で暫定オープンした施設が旧「新風館」だった。

 その後、16年に閉館し、再々開発をスタート。コミュニティー型ホテルの先駆けとなった、米国ポートランド発祥のブランド「エースホテル」をメインとする、文化発信型の複合商業施設として再生した〔写真2〕。「エースホテル京都」は同ブランドの日本初進出となる。保存建物と増築建物にまたがり、計213室の客室を展開。他には、ミニシアターや店舗などが入る。

〔写真2〕活気のあるホテルのエントランスロビー
〔写真2〕活気のあるホテルのエントランスロビー
コミュニティー型ホテルを体現する、地域に開かれた1階ホテルエントランスロビー。商業部分と共通の床材を使っている。隈氏が提案した木組みに、コミューンデザインがグリッド照明を融合させた(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]