全5073文字
PR

渋谷駅の北側最寄りに都市公園を再整備した「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」が完成した。公園を空中に持ち上げ、下階の商業モールや端部に立つホテルと一体利用を図る。PPP(官民連携)による前例のない複合施設は、どう生まれたのか。

北端のホテル上階から見下ろす。夜間照明に関しては、「一定の安全が確保された施設なので、多少の暗がりは残そうと考えた」と照明デザインを担当した岡安泉照明設計事務所代表の岡安泉氏は語る。「使う人が場所を選べるよう、均質に照らさず、むらをつくった」(同氏)(写真:吉田 誠)
北端のホテル上階から見下ろす。夜間照明に関しては、「一定の安全が確保された施設なので、多少の暗がりは残そうと考えた」と照明デザインを担当した岡安泉照明設計事務所代表の岡安泉氏は語る。「使う人が場所を選べるよう、均質に照らさず、むらをつくった」(同氏)(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]

 地上17mに公園が浮かび、下階3層に商業モールが巡る。公園は道路をまたぎ、東西の最大幅約35m、南北の全長約330m。北端に地上18階建てのホテルが立つ。リニューアルとなる「渋谷区立宮下公園」は2020年7月に開園。商業施設とホテル(「MORE FOCUS-2 公園とつながる新ブランドホテル開業」参照)は8月に開業した。

 立体都市公園制度(「MORE FOCUS-1 立体都市公園制度で「公園の下」を活用」参照)によって実現した前例のない複合形態だ。1966年開園の既存公園も、都市計画駐車場の屋上に載る“空中型”とされていた。今回、老朽化した旧施設を建て替えた。

 渋谷区は14年にPPPによる整備事業者を募るプロポーザルを実施。三井不動産を選んだ。プロポーザルと基本計画、都市計画変更の手続きには同社の下、日建設計が携わった。

 引き続き日建設計が着手した基本設計の途中で施工者が竹中工務店に決定。基本設計と実施設計は竹中工務店が引き継いだ。以後、日建設計は公園と商環境に関するデザイン監修などの面で関わってきた。

 「区は、公園の新しいデザインを求めていたわけではない」と日建設計設計部門シニアプロジェクトデザイナーの三井祐介氏は振り返る。南北の公園を一体化し、面積を最大化しながら都市的な課題を解く。公共機能の向上が主眼だった。「立体都市公園制度を前提とする以外、要項に規模や複合用途の条件はなかった。どこまでが“立体”として認められるのかは手探りだった」(三井氏)

 主な複合用途は商業モール。「いかに公園と切り分けず一体で表現するかが課題だった」と三井不動産アーバン事業部事業推進グループの松本和之氏は語る。屋上に向かう街からのアクセスや、下階との間の連絡のスムーズさを重視したという。