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北海道白老町のポロト湖畔に、アイヌ民族の歴史・文化を展示・研究する拠点施設が完成した。国内最北となる国立博物館は湖に面して大開口を設けつつ、寒さや津波のリスクも踏まえた設計とした。

南側上空から見た「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の全景。ポロト湖を囲むように施設を配した。写真左に一部屋根が写るのが「体験交流ホール」で、手前がエントランス棟。右奥が「国立アイヌ民族博物館」だ(写真:丹青社、日展、フォワードストローク)
南側上空から見た「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の全景。ポロト湖を囲むように施設を配した。写真左に一部屋根が写るのが「体験交流ホール」で、手前がエントランス棟。右奥が「国立アイヌ民族博物館」だ(写真:丹青社、日展、フォワードストローク)
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 北海道白老町の南東部に、緑の木々に囲まれて静かに水をたたえるポロト湖がある。その湖畔で2020年7月19日、アイヌ民族の歴史・文化を学び伝えるナショナルセンター「⺠族共生象徴空間(ウポポイ)」がオープンした〔写真12〕。白老町は太平洋に面し、北海道苫小牧市と登別市の間に位置する。

〔写真1〕アイヌの倉をイメージした外観
〔写真1〕アイヌの倉をイメージした外観
国立アイヌ民族博物館では、2階に展示空間や収蔵庫を収めた。高床式のアイヌの倉をイメージした外観とした(写真:船戸 俊一)
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〔写真2〕アイヌ紋様で出迎え
〔写真2〕アイヌ紋様で出迎え
博物館のエントランス扉を取り囲む意匠は、アイヌのチセ(家屋)の上座側窓に立て掛ける、ゴザ模様を金属で再現したものだ(写真:船戸 俊一)
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 一般投票によって決まった施設愛称の「ウポポイ」とは、アイヌ語で「大勢で歌う」という意味だ。整備に当たっては、アイヌに関連する展示・調査研究、文化伝承・人材育成、体験交流、情報発信、公園などの機能が求められた。

 ウポポイは約10ヘクタールの広大な敷地にある。文部科学省所管の国立博物館「国立アイヌ⺠族博物館」と国土交通省所管のフィールドミュージアム「国立⺠族共生公園」、そして慰霊施設などが整備された。総事業費は約200億円だ。

 国立民族共生公園には、「体験交流ホール」や「体験学習館」、「工房」の他、北側にアイヌのチセ(家屋)を再現した伝統的コタン(集落)の展示を設けた〔写真34〕。

〔写真3〕半円形ステージで踊りを体感
〔写真3〕半円形ステージで踊りを体感
ステージ
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体験交流ホール外観。金属の曲面屋根で覆われた体験交流ホールはアトリエブンク・総合設備計画JVの設計だ。半円形のスラスト型ステージに客席500席以上を備える(写真:船戸 俊一)
体験交流ホール外観。金属の曲面屋根で覆われた体験交流ホールはアトリエブンク・総合設備計画JVの設計だ。半円形のスラスト型ステージに客席500席以上を備える(写真:船戸 俊一)
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〔写真4〕伝統的住居も再現
〔写真4〕伝統的住居も再現
「伝統的コタン(集落)」の展示。アイヌのチセ(家屋)群を再現し、伝統的な生活空間を体験できる(写真:船戸 俊一)
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