フォーカス建築
目次
-
すり鉢状の広場でにぎわい
商業施設と官民連携の都市空間を一体に 発注:東神開発(FLAPS、広場デッキ、都市広場ステージ)、流山市(都市広場舗装・植栽・街灯・ベンチ) 設計:マウントフジアーキテクツスタジオ(FLAPS、広場デッキ、都市広場)、フジタ(FLAPS、広場デッキ)、プランツスケープ(都市広場) 施工:フジタ(FLAPS、広場デッキ、都市広場)、イズミ(都市広場)
ひな壇状の外観と植栽が目を引く商業施設が、千葉県流山市の流山おおたかの森駅前に2021年3月開業した。流山市と共同整備した駅前広場と商業施設を一体ですり鉢状にすることで、人が集まる都市空間を生み出した。
-
青やオレンジに輝く「水の柱」
ガラスの被膜でファサードの色を制御 発注:ルイ・ヴィトン ジャパン 設計:AS、PETER MARINO ARCHITECT、エイチアンドエイ、乃村工芸社A.N.D.、LOUIS VUITTON MALLETIER 施工:清水建設、旭ビルウォール、J.フロント建装、綜合デザイン
ルイ・ヴィトン ジャパンが東京・銀座の並木通り沿いに立つ日本初の直営店を建て替えた。曲面ガラスで覆ったファサードは「水の柱」を表し、光の加減で色が変化して見える。
-
善光寺に向かう軸線生かす
旧施設に敬意を表しつつ東山魁夷館と結ぶ 発注:長野県 設計:プランツアソシエイツ 施工:清水建設・新津組JV(建築・周辺整備)
旧美術館が建て替えられ、長野県立美術館として2021年4月10日に新たなスタートを切った。丘上からつながる広大な屋上広場を設け、視線の先に位置する善光寺本堂の眺望を確保した。
-
通りに合わせて外壁を分節
東西200mの外装を周辺環境とつなぐ 発注:三菱地所 設計:三菱地所設計 共用部内装デザイン:メック・デザイン・インターナショナル 施工:大成建設(建築)
築60年の賃貸事務所ビルを全面改修。東西200mの外装を分節化して周囲との関連性を表現した。小割の部屋に合わせてスタートアップなどの先端企業を誘致、新たなビジネス創出の場を狙う。
-
大空間に多様な働き場所
コロナ収束後の週2回出社を促す職場づくり 発注:ZOZO 設計:NAP建築設計事務所、竹中工務店 施工:竹中工務店
ZOZOが2021年2月に、本社を千葉市の海浜幕張から西千葉に移転。大空間のオフィスをつくった。吊り屋根を採用して柱を少なくしたスペースには、働き手が選べる多様な場をちりばめた。
-
黒箱に秘めたあでやかな内装
大阪・心斎橋近くにホテル「W」が日本初進出 発注:積水ハウス 設計:日建設計 デザイン監修:安藤忠雄建築研究所 施工:竹中工務店
外と内でがらりと印象が変わるライフスタイル型ホテルが、大阪の御堂筋沿いでオープンした。コロナ禍により観光需要が冷え込む中での船出となった。宿泊に限らずイベントなど様々な使い方で「デスティネーションホテル」となることを目指す。
-
地域文化や歴史を外壁に描く
縄文土器や雪の結晶をグラフィック化 発注:十日町市 設計:石本建築事務所・トータルメディア開発研究所・阿部設計事務所JV 施工:村山土建・サンウッド新潟JV(建築)
国宝の縄文土器などを展示する。テーマ別の展示に順路は設けず、興味を持った順に巡れる。外壁は白を基調に、縄文土器や雪の結晶など、地域の歴史や文化を象徴する模様を表現した。
-
集成材でダブルスキンを支持
CLT耐震壁のコアで支える都市木造 発注:タクマ 設計・施工:竹中工務店
集成材で支持するダブルスキンによって建物全体を覆ったガラス建築が完成した。建物自体は、CLT耐震壁と鉄骨ラーメンのハイブリッド構造による2時間耐火の大規模都市木造だ。
-
寝転んで眺める「水平線」
1枚の鉄板で覆った80m×50mの半屋外空間 発注:学校法人幾徳学園 設計:石上純也建築設計事務所(建築) 施工:鹿島(建築)
「垂れ下がる巨大な鉄板屋根」が施工中から注目されていたKAIT広場が、神奈川工科大学に完成した。屋根に合わせてカーブを描く床や、屋根に開けられた59の穴が、学生たちをかつてない体験へと誘う。
-
水平性を強調し品格を与える
中庭型の配置で現代の「庭屋一如」を実現 発注:三井不動産 設計・施工:清水建設 マスターデザインアドバイザー:栗生総合計画事務所
三井不動産が開発し、直営する最高級ホテルが2020年11月、京都の三井家ゆかりの地に開業した。設計者は歴史を丁寧にひもとき、伝統意匠を援用しながら、日本発の5つ星ホテルをつくり上げた。
-
客室減らして大胆な吹き抜け
老舗旅館を改修、共用部で人を呼び込む 発注:合同会社マーズ 設計:藤本壮介建築設計事務所(既存棟改修、新築棟) 施工:冬木工業
建築家の藤本壮介氏が設計した「白井屋ホテル」が、2020年12月に前橋市で開業した。衰退した市街地の価値を高めるため、建築とアートで再生を目指す。
-
建物全館で空調を学ぶ
稼働中の機器から空気の流れまで見せる 発注:新晃工業 設計・施工:竹中工務店
業務用空調機器メーカーのショールーム。機器展示に加えて、空調を理解してもらう仕掛けを満載した。色分けした配管やダクト、ガラス張りの床、気流を表現したグラフィックなど、見せる“学びの場”だ。
-
回遊を促す大屋根の乗船場
世界遺産の玄関口にふさわしい景観形成の一歩 発注:広島県 設計:乾久美子建築設計事務所 施工:広成建設・広電建設JV(建築)ほか
世界遺産の厳島神社がある宮島(厳島)に渡る玄関口に、フェリーターミナルが完成した。半屋外の大空間は、多くの乗船客を流すのと同時に、周辺地区で始まった街の再編との一体性に配慮した。
-
生活動線を引き込む図書館
集まる人を本の世界に誘い、多様な活動を触発 発注:那須塩原市 設計:UAo 施工:石川建設・生駒組・万建設興業JV(建築・外構)ほか
空洞化が目立つ鉄道駅周辺に、にぎわいを取り戻す拠点となる図書館がオープンした。市民や高校生の生活動線をプランに取り込み、様々な活動を誘発し、本に親しむ人が増えることを目指す。
-
車路が巻き付くガラス建築
物流インフラと博物館、研修施設を融合 発注:ヤマト運輸 設計:日建設計 施工:前田建設工業
東京・品川に、宅配便の集配センターと企業ミュージアム、研修施設を複合した建築が登場した。地上5階の荷さばき場まで、外周の車路を集配車が上下し、車路に挟まる形で展示空間などが連なる。
-
湖畔にアイヌ文化伝える施設
寒冷地で日本最北となる国立博物館建設に挑む 発注:国土交通省北海道開発局(国立アイヌ民族博物館) 設計:久米設計(同) 施工:竹中工務店・田中組特定建設工事共同企業体(同)
北海道白老町のポロト湖畔に、アイヌ民族の歴史・文化を展示・研究する拠点施設が完成した。国内最北となる国立博物館は湖に面して大開口を設けつつ、寒さや津波のリスクも踏まえた設計とした。
-
渋谷で空中公園と商業融合
官民連携で立体複合の「都市プラットフォーム」 発注:三井不動産 プロジェクトアーキテクト:日建設計 設計:竹中工務店 施工:竹中工務店
渋谷駅の北側最寄りに都市公園を再整備した「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」が完成した。公園を空中に持ち上げ、下階の商業モールや端部に立つホテルと一体利用を図る。PPP(官民連携)による前例のない複合施設は、どう生まれたのか。
-
週末も人でにぎわう市庁舎
超高層ビルの自然換気扉がコロナ禍に効果 発注:横浜市 デザイン監修:槇文彦 設計:竹中工務店、槇総合計画事務所 施工:竹中工務店・西松建設JV
人口約376万人の横浜市に新庁舎が完成。同市が力を入れる景観と歩行者ネットワークの形成に寄与する。超高層ビルでは珍しい自然換気の導入は、図らずして新型コロナウイルス感染防止の効果を発揮した。
-
白い庇と植栽で緑の軸結ぶ
虎ノ門一帯にグリーンネットワーク形成 発注:虎ノ門一丁目地区市街地再開発組合 設計:森ビル、インゲンホーフェン・アーキテクツ(外装デザインなど) 施工:大林組
森ビルが開発を進める東京・虎ノ門地区に、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」が全館オープンした。末広がりの白い庇に緑が映える。既存タワーなどと連携し、エリア一帯にグリーンネットワークを形成する。
-
再々開発でにぎわい呼ぶ
コミュニティー型ホテルと小路で人の流れを誘引 発注:NTT都市開発 設計:NTTファシリティーズ(建築設計)、隈研吾建築都市設計事務所(建築デザイン監修) 施工:大林組
築94年、歴史的建造物である「旧京都中央電話局」の再々開発事業「新風館」が6月に開業した。コミュニティー型ホテルを中心とした複合商業施設で、街の回遊性に変化を与える。