フォーカス住宅
目次
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19.5坪に性能と機能を凝縮
狭小に不釣り合いな大テーブルを使い回す 設計:ネイティブディメンションズ 施工:仲村建設
光熱費を抑えるため、延べ面積を19.5坪(約65m2)にした狭小住宅だ。延べ面積を抑えて捻出した建設費を性能アップに使う。狭さをカバーする機能的な工夫を駆使して、ユニークで使いやすい空間を実現した。
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個人邸を4戸の共同住宅に
吉武泰水の元自邸を改修してスケルトン分譲 発注:アーキネット 改修設計:駒田建築設計事務所、アキチ アーキテクツ 施工:栄伸建設
日本の建築計画学の先駆者である吉武泰水の元自邸「ヨシタケハウス」のコンバージョンだ。閑静な住宅地に立つ築30年の個人邸を4戸の共同住宅に用途変更。スケルトン分譲で新たな住人に引き継がれた。
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360度の自然に円形で開く
自然エネルギーで自立できる暮らしも標榜 設計:彦根建築設計事務所 施工:和田工務店
海から山まで、敷地を取り囲む360度の自然環境に開かれた円形プランの住宅。円形によって、家族同士の適度な距離感と一体感を両立させた。太陽光などの利用で、エネルギーの自立性が高い暮らしも目指している。
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坪60万円台の高性能住宅
部材と設備のスリム化を徹底してコスト抑える 設計:川島範久建築設計事務所 施工:トコロ
低コストと、高い耐震性能や省エネ性能を両立した家だ。構法や材料、空調方法などを可能な限りシンプルにすることで、一般的な木造住宅と比べ最小限の部材で年間を通して快適な暮らしができる家を実現した。
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柔らかな光差す白い膜屋根
三方塞がりの狭小地でも室内を明るく 設計:永山祐子建築設計 施工:TSP太陽、ルーヴィス
屋根をテント膜でつくった、珍しい2階建ての戸建て住宅である。3方向を隣家に囲まれた北東向きの敷地で採光を確保するため、うっすらと光を通す膜屋根を採用した。2階の天井も薄い膜で仕上げている。
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立体中庭で緑豊かに暮らす
全住戸が中庭側に大開口を持つ集合住宅 設計:奥野公章建築設計室 施工:河津建設
まるで自然の林や渓谷のような中庭を持つコーポラティブハウスだ。地下1階のドライエリアから、1階中庭、2階レベルのブリッジと、中庭を立体的に構築することで、どの住戸からも身近に緑を感じられる住環境を目指した。
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旧家を高断熱化し住み継ぐ
コストの制約が生んだ現代と歴史の“同居” 設計:中川純+戸邉亮司+永井拓生 施工:シグマ建設
冬の生活が厳しい築90年の住宅で、部分的に断熱空間をつくった。同時に、長く大切にされてきた和室などは非断熱のまま残し、新旧が共存する住宅に再生した。“部分”に着目した背景にはコストの制約があった。
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家を街に開く「ロッジア」
大きな気積の半屋外空間で暮らしを彩る 設計:teco 施工:Build Lab
2階のリビングに隣接して「ロッジア」という屋根付きの半屋外空間を持つ家だ。子どもの遊び場や家族の団らんの場などに使われるこの空間は、家の内外をつなぎ、日光を家の奥まで導く役割を果たす。
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旗ざお敷地を貫く直線の家
幅1.8mを基本に、水平と垂直に広がり持たせる 設計:1-1Architects 施工:川下建設
変形旗ざお敷地のさおの部分に長さ約25mの細長い住宅を配置した。幅約1.8mのプランを軸に、たまりの場となる凸部を要所に設けて空間に広がりを持たせた。外部空間と相まって、変化に富んだ住まいとなっている。
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増築で住居に転生した土蔵
築150年の土蔵に増築して空間と環境を補う 設計:澤秀俊設計環境 施工:いもと建築
解体もやむなし──。建て主が諦めかけていた築150年の土蔵を住居に再生した。隣に小さな木造2階建てを増築して、住空間や温熱環境を補うことで、建て主が思いもしなかった土蔵の暮らしを形にした。
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職住が共存する現代の民家
「屋根裏」が多様な生活機能と構造を担う 設計:ICADA 施工:久木原工務店
福岡市臨海部に立つ、若い夫婦の住まい。コロナ禍によって在宅勤務が増えたことが、家を建てる動機につながったという。設計者は、職と住が一体だった古民家の「屋根裏」の、現代的再解釈を試みた。
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4軒長屋の歴史を引き継ぐ
既存住戸の空間構成や部材の魅力を生かす 設計:魚谷繁礼建築研究所 施工:亀匠
京都市内の路地奥にある築100年超の4軒長屋を1棟に改修した。縦長の住戸が並ぶ空間構成や、古材を再利用していた既存建物の魅力を継承する。補修のために新たな部材を加える際は、新旧を融合させた。
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適度な距離感の2世帯住宅
「風の通り道」を介して2棟をつなぐ 設計:鈴木淳史建築設計事務所 施工:坂上工務店
2棟の家が並んでいるように見えるが、実は奥でつながった1棟の2世帯住宅だ。共用の前庭を挟んだ配置計画にすることで、兄と妹の2世帯の家族が快適に暮らせる適度な距離感と、風や光の抜けを生み出した。
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“土”に囲まれて暮らす
素人でも施工可能な未焼成レンガ構法を開発 設計:Eureka 施工:大同工業
土壁を乾式で実現した。グリーン・ブリックと呼ぶ未焼成レンガを用いたものだ。軽くてセルフビルドでも施工でき、土に戻すことも可能だ。設計者と土の研究者の協働で生まれた自然素材による構法だ。
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斜面地を生かした重層長屋
ずらした配置で各住戸の光や風、眺望を確保 設計:インタースペース・アーキテクツ 施工:山菱工務店
斜面地、しかも引き込み道路の突き当たりの短冊形という設計難度が高い敷地に対して、設計者は地形を生かした階段状の木造長屋を提案。さらに、「ロ準耐火建築物1号」とすることで、室内では木の現しを実現した。
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佳景をめでるL字形庵
自然を大開口で室内に取り込み、小窓で切り取る 設計:木村松本建築設計事務所 施工:いまむら工務店
京都駅から数キロメートル離れた静かな山間に立つ住宅兼スタジオだ。建て主は、周辺の自然を楽しむための、多様な居場所を求めた。設計者は、2mグリッドの細長いL字平面と、床や天井の高さを違えた空間で応えた。
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プレハブでシェア機能拡張
地域に開くため住宅会社とアトリエ事務所が協働 発注:バルーン 設計:ツバメアーキテクツ、パナソニックホームズ 施工:パナソニックホームズ
シェアオフィス・キッチンを併設した集合住宅だ。狭小地の多層住宅に強い住宅会社に加えて、“シェア”について共に研究していた建て主と設計者の3者がタッグを組み、時代に合った職住近接の暮らしを模索した。
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郊外の長屋をアートで再生
コモンリビングを併設して住人たちの制作場に 設計:GROUP、清原惟、三野新 施工:月造
神奈川県海老名市郊外に立つ、築30年を超えるプレファブの賃貸集合住宅を改修した。南側のスペースを住人たち共用の作業場とし、一部住戸の裏庭にも屋外アトリエを設置。クリエーター向けのシェアハウスへ更新した。
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トカゲが暮らせる室内庭
断熱・蓄熱・採光面で絶妙な「井」形の土壁 設計:MARU。architecture 施工:コムウト
室内に「熱帯雨林」のある家が完成した。家族5人と大きなトカゲ、複数のペットが一緒に暮らす。暖かい場所を好むトカゲのため、庭を家の中央に配置。土壁で囲って断熱や蓄熱の性能を高め、十分な採光も確保した。
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父を見守る建築家の自邸
ワンルームの上下階を3つの吹き抜けでつなぐ 設計:千葉学建築計画事務所 施工:江中建設
数多くの住宅を設計してきた千葉学氏が、長く離れていた実家を、高齢の父親と同居する家に建て替えた。親子の距離感を模索した設計は、完全分離型2世帯住宅から始まり、遠近を調整できる同居タイプに帰着した。