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環境配慮とデザイン性を両立

 外装はほぼ原型のままだが、1階に共用廊下を新たに設けた。また元の玄関ポーチを無くし、1階の専用庭兼窓先空地とした〔写真2〕。

〔写真2〕元のピロティに共用廊下を新設
〔写真2〕元のピロティに共用廊下を新設
1階エントランスの共用廊下。柱型のみタイルをはがしモルタル仕上げとし、構造体を現わにした。亜鉛メッキの塀は、窓先空地からの避難のため開くようになっている(写真:吉田 誠)
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 各住戸の設計は購入者が個別に依頼でき、満足感を高める。1Aと2Aをアキチ アーキテクツ、2Bと3Aを駒田建築設計事務所が担当。いずれも原設計の多面採光や空間のかたちを踏襲したデザインとなっている。

 1Aには、夫妻と猫、犬が暮らす〔写真3~5〕。リビングに小上がりとワークスペースを設え、その上をキャットウオークとしている。小上がりの下は、犬のクレートスペースだ。寝室は、既存の大木がある庭に面する窓からの眺望を室内に取り入れている。

〔写真3〕犬や猫と快適に暮らすリビング
〔写真3〕犬や猫と快適に暮らすリビング
1A住戸のリビング。キャットウオークや犬のクレートスペース、小上がり、ワークスペースを配置して、人とペットが暮らしやすい場を目指した。専用庭の既存樹木は残した。住戸の設計は、アキチ アーキテクツが手掛けている(写真:吉田 誠)
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〔写真4〕回遊できる一体的な空間
〔写真4〕回遊できる一体的な空間
1A住戸はキッチン回りのコアを中心に、リビング、寝室と回遊できる動線となっている。ダイニングテーブルやキッチンもアキチ アーキテクツがデザイン(写真:吉田 誠)
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〔写真5〕既存の大木を望む寝室
〔写真5〕既存の大木を望む寝室
1A住戸の寝室。浴室はガラス張りで、洗面台も間仕切りがないため部屋からの視界が広がる。庭の大木は、吉武泰水家に子どもが誕生したのを記念に植樹したものだという(写真:吉田 誠)
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 2Bもまた、開放感のある住戸だ〔写真6~8〕。玄関を入ると東西の開口部が目に飛び込んでくる。東側のリビングは、原設計の腰窓の外側にプランターを設置。リビングには壁の凹凸を生かしたワークスペースを設けた。

〔写真6〕既存の腰窓からの眺めを楽しむLDK
〔写真6〕既存の腰窓からの眺めを楽しむLDK
2B住戸のLDK。東面の窓は、ダイニングに座った目線の高さから窓の外の緑が楽しめるようにプランターを設置できる。アイランド型のカウンターなどの什器も駒田建築設計事務所がデザインした(写真:吉田 誠)
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〔写真7〕吉武家のワークスペースを踏襲
〔写真7〕吉武家のワークスペースを踏襲
2B住戸のワークスペース。吉武泰水がここからの眺めを気に入り縦長の窓を設けたという逸話がある。吉武もここにデスクを置いていたという(写真:吉田 誠)
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〔写真8〕多面採光を感じられる玄関と寝室
〔写真8〕多面採光を感じられる玄関と寝室
2B住戸の寝室。玄関前のスペースを広く取ることで東西の抜けを感じられる設計となっている。既存の柱や梁は白くせず、あえてモルタル仕上げとし、スケルトンを現しとした(写真:吉田 誠)
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 「良い建築の空間の特性を残す事業をこれからもやっていきたい」と織山氏。「スケルトン分譲は、サステナブルで自分好みのデザインもかなった」と住人も満足げだ。