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扇形の敷地に立つ、地上2階建ての木造住宅だ。カーブする道沿いに湾曲した外壁を立て、裏に細長い庭を配置した。内側にもう1つ壁を設け、庭とつながる曲面の開口をつくった。2枚の壁が内と外を緩やかにつなぐ。

 居間と食事室にまたがる弧を描いた大開口越しに、庭の草木を眺めながら暮らす〔写真1〕。庭の先にある壁には所々に大小様々な開口があり、そこから外まで見通せる──。

〔写真1〕居間と食事室の大開口から庭を望む
〔写真1〕居間と食事室の大開口から庭を望む
曲面には市販のガラスサッシを複数はめ、巨大な開口をつくった。窓際に砂利を敷き、庭との一体感を醸成している。庭の先には外壁を設けた。居間は建て主が希望した、イグサの香りが漂う縁なしの畳敷き。曲面に合わせた木製建具はつくり込んだ(写真:Koji Fujii)
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 広島市郊外の住宅街に、レストランと見間違えそうな土壁の家が立つ。曲がる坂道に面し、壁の四角い穴から木々が枝葉を伸ばす〔写真2〕。

〔写真2〕坂のカーブに沿って立つ家
〔写真2〕坂のカーブに沿って立つ家
住宅街の扇形の敷地に、扇形の平面の家を建てた(写真:Koji Fujii)
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 夫婦と子どもの3人家族が暮らすこの家には、建て主のこだわりが詰まっている。着想を得たのは、広島県尾道市にある、浮かした土壁や現しの木の梁といった内外装が特徴の料理店「高原誠吉食堂」(2016年竣工)だ。その建築が好きな建て主は、食堂の設計者であるUID(広島県福山市)に住宅の設計を依頼した。

 高原誠吉食堂に通ずる内外装のイメージ以外にも要望は多かった。

 建て主は敷地探しから始め、最終2案に絞ったところで、UIDの前田圭介代表に相談。扇形とはいえ、角地である今回の敷地は建て主の希望をかなえやすいのではないかと、前田代表はアドバイスした〔写真3〕。家の名前になっている「PeacoQ(ピーコック)」は、孔雀(くじゃく)が羽を広げたような扇形の土地に由来する。

〔写真3〕道路側を開き、隣家側は閉じる
〔写真3〕道路側を開き、隣家側は閉じる
南からの日差しがカーブする2枚の壁の間を反射して、北側まで回り込む(写真:Koji Fujii)
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