都心の公園に面する、5戸から成るコーポラティブハウスだ。斜めの屋根スラブを緑化し、公園と連続性を持たせた。ひな壇状のテラスと室内を階段で巡れる重層プランとし、内外で緑を楽しめる共同住宅をつくった。
「公園の緑を借景として眺めるだけでなく日々体感し、周辺環境を生活に取り込むことを考えた」。コーポラティブハウス「Y TERRACE」を設計した駒田建築設計事務所(東京都江戸川区)の駒田剛司氏は、そう語る。
同氏は妻の駒田由香氏と事務所を共同主宰する。2人は都市のインフラになるような共同住宅の建築に力を入れてきた。
Y TERRACEの企画者であるアーキネット(東京都渋谷区)は、そんな駒田事務所に設計を依頼した。駒田事務所は緑化条例と北側斜線制限がかかる敷地をうまく生かし、斜めにした屋根スラブを公園の樹木と連続するように緑化する案を出した。屋上にはひな壇状にデッキを張ったテラスを設ける〔写真1、2〕。
建物は地下1階・地上3階建ての鉄筋コンクリート造。5つの住戸は全て、広さが100~150m2ほどのメゾネットまたはトリプレットだ。
各住戸には屋内階段の他、複数のテラスを結ぶ住戸専用の外部階段を設けた。内外を立体的に回遊できる構成にした。全住戸を重層プランにしたのは、階ごとに異なる風景を楽しめるようにするためだ。