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都心の公園に面する、5戸から成るコーポラティブハウスだ。斜めの屋根スラブを緑化し、公園と連続性を持たせた。ひな壇状のテラスと室内を階段で巡れる重層プランとし、内外で緑を楽しめる共同住宅をつくった。

 「公園の緑を借景として眺めるだけでなく日々体感し、周辺環境を生活に取り込むことを考えた」。コーポラティブハウス「Y TERRACE」を設計した駒田建築設計事務所(東京都江戸川区)の駒田剛司氏は、そう語る。

 同氏は妻の駒田由香氏と事務所を共同主宰する。2人は都市のインフラになるような共同住宅の建築に力を入れてきた。

 Y TERRACEの企画者であるアーキネット(東京都渋谷区)は、そんな駒田事務所に設計を依頼した。駒田事務所は緑化条例と北側斜線制限がかかる敷地をうまく生かし、斜めにした屋根スラブを公園の樹木と連続するように緑化する案を出した。屋上にはひな壇状にデッキを張ったテラスを設ける〔写真12〕。

〔写真1〕複数のテラスを立体的につなぐ
〔写真1〕複数のテラスを立体的につなぐ
公園に面する03号室の2階リビング。奥のテラス階段は、3階のテラスにつながる。折り上がった天井の上は、植栽の土壌スペースや階段になっている(写真:浅田 美浩)
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〔写真2〕斜めにした屋上を緑化
〔写真2〕斜めにした屋上を緑化
北側(左手)が公園に面する。屋上にひな壇状のテラスを設け、階段で行き来できるようにした。敷地全体で、自治体の緑化条例が求める高木4本、中木4本、低木49株以上を植えた(写真:傍島 利浩)
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 建物は地下1階・地上3階建ての鉄筋コンクリート造。5つの住戸は全て、広さが100~150m2ほどのメゾネットまたはトリプレットだ。

 各住戸には屋内階段の他、複数のテラスを結ぶ住戸専用の外部階段を設けた。内外を立体的に回遊できる構成にした。全住戸を重層プランにしたのは、階ごとに異なる風景を楽しめるようにするためだ。