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全長14m超のLVL(単板積層材)の耐力壁が、2層にわたって室内外を斜めに貫く住宅だ。単板の積層面を意匠として生かしている。木造在来工法と組み合わせた躯体(くたい)とするなど、LVLの新しい使い方を模索した。
地下1階・地上2階建てのこの家は、設計を手掛けたKMKa(東京都豊島区)共同代表の松下希和氏が自邸を建て替えたものだ。夫と娘、犬1匹と暮らす。
外からは、片持ちで突き出た2階部分や、東西で互い違いに傾斜する屋根が目に留まる。室内は、それ以上に驚きに満ちている。2層吹き抜けの空間が広がり、LVL現しの巨大な壁が斜めに縦断する〔写真1~2〕。
LVL壁は東側の外壁に対し、8度振って配置した。壁の角度は、南側の道路面から1mほど上がった高さにある庭を西側から押さえる、既存の擁壁の角度に合わせた。
庭には毎年たくさんの実をつけるレモンの木がある。擁壁を家の中まで延ばすように室内に壁を立てることで、レモンの木がある庭と建物を一体化することを狙った。