前庭側いっぱいに設けた「ロッジア(開廊)」と、スキップフロア形式で回遊性の高い屋内空間によって、屋内外のつながりを楽しむことを意図した。ロッジアは内外の緩衝空間で、「屋外リビング」として機能している。
農地の中に住宅が点在する郊外エリアに立つ住宅だ。夫婦と幼い子ども2人の家族が暮らす。設計を手掛けたIN STUDIO(東京都杉並区)代表の小笹泉氏は、「建て主が代々住み継いできた敷地を整理して、この場所と新たな結び付きを深められるような建築を目指した」と話す。
面積620m2と広い敷地の中央にはもともと、夫の実家の母屋が立っていた。母屋を解体して空けたスペースに、東向きの新宅と前庭を配置。建物と前庭との間に幅員約2m、長さ約15mと存在感のあるロッジア(開廊)を独立構造で設置し、屋内外の緩衝空間にしている〔写真1〕。
ロッジアに面して土間付きの玄関スペースがあるが、その両側に設けた掃き出し窓からも出入りできる〔写真2、3〕。ロッジアに接する1階開口全てが“玄関”として機能するとともに、屋内外の段差がほとんどないので、建て主家族はロッジアを1階屋内の延長として使っている。