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木造架構で居住スペースを2階に持ち上げる。室内から目の前の田園風景を楽しみつつ、ピロティを活用できる住まいを目指した。室内環境やエネルギー問題にも配慮し、古くからある高床式住宅を現代的な設計で解いた。

 正方形の居住スペースが4本の通し柱で持ち上げられ、片持ちで約2.7mずつ外側に張り出している。陸屋根の端部を覆う鋼板の破風が水平線をくっきりと描き出し、その中央に急勾配の三角屋根がそそり立つ。

 建築史の研究者である中谷礼仁・早稲田大学教授の自宅「高床の家」(茨城県)が2021年3月に完成した〔写真1〕。最寄りの鉄道駅から自宅まで水田が続く。「かつての日本を象徴するような農村風景」を中谷氏が気に入って土地を購入し、何年か越しで計画していた移住を実現させた。都心を離れ、この家から大学に通う。

〔写真1〕居心地のよいピロティに
〔写真1〕居心地のよいピロティに
居住スペースを2階に持ち上げて田園風景の眺望を確保。4本の柱と斜材で構成するピロティは交流の場として利用できるようにした(写真:安川 千秋)
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