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解体もやむなし──。建て主が諦めかけていた築150年の土蔵を住居に再生した。隣に小さな木造2階建てを増築して、住空間や温熱環境を補うことで、建て主が思いもしなかった土蔵の暮らしを形にした。

 真っ白なしっくい壁の土蔵の傍らにぴたりとくっついて、ガラス張りの木造建物が塔状に立ち上がっている。2階の梁に「明治10年」の札が残る土蔵は築150年近く。ほとんど使われていなかったその土蔵を全面的に改修して住居に転用した。同時に、土蔵だけでは足りない空間や機能を補う木造の増築棟を建てて、現代の暮らしに見合う新旧一体の住宅をしつらえた〔写真1、2〕。

〔写真1〕築150年の土蔵と増築棟が一体の住まい
〔写真1〕築150年の土蔵と増築棟が一体の住まい
母屋から見る。長く使っていなかった築150年の土蔵を住居に転用。隣地に建てた増築棟と一体化することで1つの住宅とした。冬に土蔵の雪下ろしがしやすいように増築棟から屋根に出られるようになっている(写真:車田 保)
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配置・1階平面図
配置・1階平面図
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〔写真2〕約11m2の“隙間”を見つけて増築

工事前の様子。手前の母屋から写真中央の土蔵まで、古い建物が立て込んでいた(写真:澤秀俊設計環境)
工事前の様子。手前の母屋から写真中央の土蔵まで、古い建物が立て込んでいた(写真:澤秀俊設計環境)
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土蔵に隣接した小さな蔵を解体して、広さ3.5坪(約11m<sup>2</sup>)の増築棟を施工しているところ(写真:澤秀俊設計環境)
土蔵に隣接した小さな蔵を解体して、広さ3.5坪(約11m2)の増築棟を施工しているところ(写真:澤秀俊設計環境)
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 「土蔵を調べたところ、十分に使い続けられる頑丈なものだった。壁厚が約30cmあり、断熱性能や防音性能が高い半面、日差しや通風は得にくい。敷地内で手を入れられるわずかなスペースに増築棟を建てて土蔵と一体化し、光と風を取り込んだ」。設計を手掛けた澤秀俊設計環境代表の澤秀俊氏はそう説明する。